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揺るぎ
「揺るぎ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
揺るぎの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「玉藻の前」より 著者:岡本綺堂
く吹いて通ったかと思うと、今まで黙っていた古塚が地震《ないふる》ようにゆらゆらと
揺るぎ出した。 この時である。壇のまん中に坐っていた泰親は忽ち起《た》ち上がっ....
「白蟻」より 著者:小栗虫太郎
は、遠近高低の測度が失われて、土も草も静かな水のように見える。また建物はその上で
揺るぎ動いている、美しい船体としか思われなくなってしまうのだった。そうして、現在....
「熊の出る開墾地」より 著者:佐左木俊郎
合った。石油鑵が鳴り、板木が響き、バケツが鳴った。人々が叫び合った。開墾地一帯が
揺るぎ吠えるのだった。 「熊だあ! 熊だあ!」 「熊だとう?」 炬火の薄明かり....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
。 第十四章 一 馬籠にある青山のような旧家の屋台骨が
揺るぎかけて来たことは、いつのまにか美濃の落合の方まで知れて行った。その古さから....
「八ヶ嶽の魔神」より 著者:国枝史郎
」 「それまた射ますぞ。静かに静かに」 しかし葉之助は益※|泰然と構え、姿勢に
揺るぎもなく、三の矢四の矢五の矢まで、呼吸も吐けない素早さで弦音高く射放したが、....
「踊る地平線」より 著者:谷譲次
。 四日午前九時、SS・H丸はロウヤル・アルバアト・ドックを離れてテムズ河口へ
揺るぎ出た。 がたん! 踊る水平線へ! そして、極東日本へ! 3....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
いった。空はやはり同様に青かったが、もはや朝の軽やかな空気はなかった。すべては小
揺るぎもせず、自然は黙していた。彼らは願っていたとおり二人きりだった。――そして....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
るのもあった。人々の笑い興ずる声は遠くまで聞えていた。すべてが喜びに輝いていた。
揺るぎなき平和と王党の確かな安泰との時代だった。警視総監アングレーがパリー郭外に....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
してはその光明のある場所を知っていると考えることであり、深淵と未知とを待ち望み、
揺るぎなき暗黒の上に目を定め、ひざまずき、我を忘れ、震え戦き、永遠の深き息吹《い....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
コンクリートの上に固めた水硬石灰である部分は、もうそれをささえるものがなくなって
揺るぎ出していた。この種の牀板《ゆかいた》においては、一つの皺《しわ》はすなわち....
「フランケンシュタイン」より 著者:シェリーメアリー・ウォルストンクラフト
って白熱するのがわかります。というのは、魂がその知的な眼を据えつける一点としての
揺るぎない目標ほど、人の心を平静にしてくれるものがないからです。この探検は僕の幼....
「運命のSOS」より 著者:牧逸馬
人出で大混雑を呈している。山のような巨船が、デッキ一杯に人を満載して、今や徐々に
揺るぎ出ようとしているのだ。見送人に下船を合図する銅羅が鳴り渡って、船と波止場を....
「翻訳の生理・心理」より 著者:神西清
がりに慎重きわまる吟味を重ねた挙句に選び当てられた、的確きわまる語彙を素材とした
揺るぎない構築物なのである。一たい誰にあの『魚玄機』が書けるというのであろうか。....
「釘抜藤吉捕物覚書」より 著者:林不忘
新しい一日の生活にその十二時の喜怒哀楽に眼覚めんとする今それは、眠っていた巨人が
揺るぎ起きようとする姿にも似て、巷都《まち》を圧す静寂《しじま》の奥に、しんしん....
「三国志」より 著者:吉川英治
した。 瓦口関に構えて一息ついていた張※は、幾度かの敵襲も、堅固な関の救いに小
揺るぎもなく、事なくすんだが、さて援軍が来なければ、此処から一歩も動きがとれない....