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損う
「損う〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
損うの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「蠅」より 著者:海野十三
黒紗で出来ている蠅の身体はよく透けて見えるので、撮影に当ってレンズの能力を大して
損うものではなかったのである。 第四話 宇宙線 宇宙線という恐ろしい放射....
「地中魔」より 著者:海野十三
そう放送すれば岩は諦めるだろうと思ったのだ。……俺はも少しでマンマと百万弗を握り
損うところだった。 警察にしちゃ、鮮かすぎる手だ。そこで俺は気がつくべきだった....
「小田原陣」より 著者:菊池寛
云うので訊問されたときなど、 「太閣がお目利の違われたる関白殿を、政宗が片眼で見
損うのは当然である」と、喝破して、危機を逃れている。だから秀吉だって、政宗を虫け....
「出家とその弟子」より 著者:倉田百三
やつとは私も思うている。あれにも数々の弁解がある事だろう。だがあれは他人の運命を
損うたのだからな。一人の可憐な女は死んだ。一人の善良な青年の心は一生涯破れてしま....
「愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
搦まれている。ローマ教会の教権が中世哲学に累したごとく、国権がわが現今の哲学界を
損うてる。彼らの倫理思想のいかに怯懦なることよ。彼らは蒼い弓なりの空と、広くほし....
「田端日記」より 著者:芥川竜之介
を倒にしたような顔だのに、こう髪の毛を長くしちゃ、いよいよエステティッシュな趣を
損うよ。と、入らざる忠告を聞かされた。 蔵六が帰った後で夕飯に粥を食ったが、更....
「蒲生氏郷」より 著者:幸田露伴
後の太平の世に生れて女飯《おんなめし》を食った史伝家輩は、元亀天正の丈高い人を見
損う傾がある。 太閤が氏郷を忌んで、石田三成と直江兼続の言を用い、利休の弟子の....
「夜光虫」より 著者:織田作之助
喧嘩のことや」 豹吉はいきなり呟いた。 「……あの男は死によったが、おれは死に
損うた」 龍太は拳銃をポケットに入れると、 「じゃ、引きあげよう」 と、隼団....
「青春の息の痕」より 著者:倉田百三
分がただ向こうの幸福を祈る心のほかにはないときに、向こうからあたかも愛するものを
損う誘惑のごとくに取扱われるときには淋しいものですね。いったいに子を守る母の愛に....
「チベット旅行記」より 著者:河口慧海
ありますがあれを不意と思い出しました。
さてこういう時に急いでやるときっと踏み
損うからまあそろそろやるべしと考え徐かにその杖に力を籠めて自分の身体を上に上げる....
「日本料理の基礎観念」より 著者:北大路魯山人
それを、いつまでも入れておいて、クタクタ煮るのでは、碌な出汁は出ず、かえって味を
損うばかりです。いわゆる二番出汁というようなものにしてはいけません。それで刃のよ....
「五重塔」より 著者:幸田露伴
自分が休んで居れば何と一言云いようなく、仕事が雨垂れ拍子になってできべきものも仕
損う道理、万が一にも仕損じてはお上人様源太親方に十兵衛の顔が向けらりょうか、これ....
「児童の解放擁護」より 著者:小川未明
るのだ。かりに、これを借りることも、規律正しく使用するに於ては、ために一木一草を
損うことなくすむであろう。 かゝる正義の行使は、今日の社会として、当然持たなけ....
「童話を書く時の心」より 著者:小川未明
いわず、またこの弊に陥っています。そのことが、いかに、純情、無垢な彼等の明朗性を
損うことか分らないのみならず、真の勇気を阻止し、権力の前に卑屈な人間たらしめるこ....
「俗臭」より 著者:織田作之助
婚した。 政江とその夫権右衛門の許可を得ることは仲々むつかしかった。危く結婚し
損うところであった。伝三郎が「好いた同志やないか」と助け船を出した揚句、結局この....