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搗く
「搗く〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
搗くの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「隣の嫁」より 著者:伊藤左千夫
て起こすまでは寝かせて置かれた。省作が目をさました時は、満蔵であろう、土間で米を
搗く響きがずーんずーと調子よく響いていた。雨で家にいるとせば、繩でもなうくらいだ....
「母子叙情」より 著者:岡本かの子
て、のびのびした挨拶の手を挙げていった。 「子供等よ、騒ぐでないぞ、森の菌霊が臼
搗くときぞ」 むす子は、おかしさが口の端から洩れるのをそのまま、子供等に対する....
「綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
ちは呟いていた。 もう一つの近所迷惑は、かの餅搗きであった。米屋や菓子屋で餅を
搗くのは商売として已むを得ないが、そのころには俗にひきずり餅というのが行なわれた....
「千鳥」より 著者:鈴木三重吉
さんの臂がちょいちょい写る。簪で髪の中を掻いているのである。 裏では初やが米を
搗く。 自分は小母さんたちと床を列べて座敷へ寝る。 枕が大きくて柔かいから嬉....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
からつるして両手で抱えた草鞋ばきの寺男を連れて檀家の廻礼をしたりする外は、村は餅
搗くでもなく、門松一本立つるでなく、至極平気な一月である。唯|農閑なので、青年の....
「夜叉ヶ池」より 著者:泉鏡花
了る……ちょうど丑満……そうだろう。(と昂然として鐘を凝視し)山沢、僕はこの鐘を
搗くまいと思う。どうだ。 学円 (沈思の後)うむ、打つな、お百合さんのために、打....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
出す、力持の女の便々《べんべん》たる腹の上で大の男が立臼《たちうす》を据えて餅を
搗く、そんなような絵が幾枚も幾枚も並べられてある真中のところに、 「所作事《しょ....
「百姓弥之助の話」より 著者:中里介山
い農業も、自家で取り上げた穀を精米所へやって搗かせるのでは徹底しない、砂を入れて
搗くとか、ゴムロールは胚芽の精分をすっかり磨りつぶして死米としてしまうとか、そう....
「成仙」より 著者:田中貢太郎
文登の周生は成生と少い時から学問を共にしたので、ちょうど後漢の公沙穆と呉祐とが米を
搗く所で知己になって、後世から杵臼の交といわれたような親しい仲であったが、成は貧....
「阿Q正伝」より 著者:井上紅梅
、燈を点じて文章を読むことを許された。その二は阿Qが日雇いに来る時は燈を点じて米
搗くことを許された。この例外の第二に依って、阿Qが米搗きに著手する前に台所で煙草....
「一商人として 」より 著者:相馬愛蔵
はその頃から御縁がついていたのでした。 さてその元気な人たちが交替に杵を取って
搗くのですが、前にもいったように中村屋の糯米は普通品よりも品が硬くてなかなか杵が....
「開運の鼓」より 著者:国枝史郎
いうのは他でもない。五合ばかりの玄米を、徳利の中へ無造作に入れて樫の棒でコツコツ
搗くのであって搗き上がるとそれを篩にかけその後で飯に炊ぐのであった。彼は徳利搗き....
「わが童心」より 著者:佐藤垢石
はこの雪の三国峠を草鞋をはいて越え、上州や武州の江戸村の方へ稼ぎに出て行った。米
搗く人もあったろう、湯屋の三助を志す人もあったであろう。 三国連山から西に続い....
「河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
腰が伸せません。二度も三度も折重って、摺り落ちて、しまいには、私がどしんと尻餅を
搗くと、お優さんは肩に縋った手を萎えたように解いて、色っぽくはだけた褄と、男の空....
「えぞおばけ列伝」より 著者:作者不詳
分ったとき,はじめて返事をするものだ.という教訓がどこのアイヌにもある. 粟を
搗く音 炉ばたで寝そべっているときなど,ふと地下で盛んに粟なぞ搗いている音が聞え....