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搾り
「搾り〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
搾りの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「檸檬」より 著者:梶井基次郎
たことはなかった。いったい私はあの檸檬が好きだ。レモンエロウの絵具をチューブから
搾り出して固めたようなあの単純な色も、それからあの丈《たけ》の詰まった紡錘形の恰....
「水害雑録」より 著者:伊藤左千夫
若い衆は起きられないという。一人は遊びに出て帰って来ないという。自分は蹶起して乳
搾りに手をかさねばならぬ。天気がよければ家内らは運び来った濡れものの仕末に眼の廻....
「義民甚兵衛」より 著者:菊池寛
げになったのじゃ。 甚三 今度は、お蔵米どころか、こちらを、逆さにして鼻血まで、
搾り出そうとしている。 およし わしもなあ、長生きしたおかげで、食うや飲まずの辛....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
の前にあらわに取り出して、不意に乗じて一種の尊敬を、そうでなければ一種の憐憫を、
搾り取ろうとする自涜も知っている。弱さは真に醜さだ。それを私はよく知っている。 ....
「クララの出家」より 著者:有島武郎
しい快い感覚に木の葉の如くおののいた。喉も裂け破れる一声に、全身にはり満ちた力を
搾り切ろうとするような瞬間が来た。その瞬間にクララの夢はさめた。 クララはアグ....
「中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
た。これが適薬だ」 彼は小さい葦の管で、腫物の口をこじ明けて、その管から貝母の
搾り汁をそそぎ込むと、数日の後に腫物は痂せて癒った。 油売 都の宣平坊に....
「獄中記」より 著者:大杉栄
のに違いなかった。しかし絵具はどうして手に入れたろう。よほどの苦心をして何かから
搾り取って寄せ集めでもしたものに違いない。が、何のためにそれだけの苦心をしたのだ....
「かんかん虫」より 著者:有島武郎
生。其奴を野郎見付ければひったくり、見付ければひったくりして、空手にして置いて、
搾り栄がしなくなると、靴の先へかけて星の世界へでも蹴っ飛ばそうと云うんだ。慾にか....
「薬」より 著者:井上紅梅
った一人のお袋がいることを前から承知している。そりゃ困っているにはちがいないが、
搾り出しても一滴の油が出ないので腹を欠いているところへ、あいつが虎の頭を掻いたか....
「些細な事件」より 著者:井上紅梅
第々々に一種の威圧になりかわり、果ては毛皮の著物の内側に隠された「小さなもの」を
搾り出そうとさえするのである。 わたしの活力はこの時たぶん停滞していたのだろう....
「夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
が壺中の天地なぞというのはこんなものかと思っているうちに、夢が青い空気のなかから
搾りだされる。虚無の油である。それがまた蟄伏していたくちなわのうごめきを思わせる....
「あるニュウ・フェイスへの手紙」より 著者:岸田国士
味いもなく、従って力強くも快くも響かないのです。つまり、なんとなく貧弱で、無理に
搾り出すようなところがあり、しばしば調子が狂いそうな危っかしさを感じます。観てい....
「真鬼偽鬼」より 著者:岡本綺堂
の以前から特別の関係が成立っていて、かれらは共謀して甚吉を籠絡し、その懐ろの銭を
搾り取って、蔭では舌を出して笑っているというのである。それが果してほんとうである....
「二葉亭余談」より 著者:内田魯庵
違わなかった。沈毅な容貌に釣合う錆のある声で、極めて重々しく一語々々を腹の底から
搾り出すように話した。口の先きで喋べる我々はその底力のある音声を聞くと、自分の饒....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
また薄あかい割り箸を添えてあった。 ミルクが一同のカップに注がれた。 「これは
搾りたてですから召しあがって下さい。サラダも※ぎたてです。」場長さんはまた附け加....