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撒
「撒〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
撒の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「疑惑」より 著者:芥川竜之介
《しらかべ》を畳みながら、その反《そ》り返った家根の空へ無数の鴉《からす》をばら
撒《ま》いている。――私はいつかうとうとと浅い眠に沈みながら、それでもまだ腹の底....
「母」より 著者:芥川竜之介
、午《ひる》過ぎの微風に戦《そよ》ぎながら、庭や草や土の上へ、日の光と影とをふり
撒《ま》いている。いや、草や土ばかりではない。その槐《えんじゅ》に張り渡した、こ....
「奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
《さいもん》が終ってから、道人は紫檀《したん》の小机の上へ、ぱらりと三枚の穴銭を
撒《ま》いた。穴銭は一枚は文字が出たが、跡の二枚は波の方だった。道人はすぐに筆を....
「魔術」より 著者:芥川竜之介
しばらく一同の眼の前へつきつけてから、今度はそれを勢いよく寄木細工の床《ゆか》へ
撒《ま》き散らしました。その途端です、窓の外に降る雨の音を圧して、もう一つ変った....
「桃太郎」より 著者:芥川竜之介
の囀《さえず》る楽土ではない。椰子《やし》の林は至るところに鬼の死骸《しがい》を
撒《ま》き散らしている。桃太郎はやはり旗を片手に、三匹の家来《けらい》を従えたま....
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
した眼を洋一へ向けた。
「ありゃさっきお絹ちゃんが、持って来た香水《こうすい》を
撒《ま》いたんだよ。洋ちゃん。何とか云ったね? あの香水は。」
「何ですか、――....
「路上」より 著者:芥川竜之介
。
「ええ、御蔭様で。」
初子は新田と俊助とに、等分の愛嬌《あいきょう》をふり
撒《ま》きながら、
「ほんとうに私《わたし》ためになりましたわ。辰子さんもいらっ....
「青年と死」より 著者:芥川竜之介
その男が来るのは事実なのでしょう。
――それはそうです。
――それじゃあ砂を
撒《ま》いて置いたらどうでしょう。その男が空でも飛んで来れば別ですが、歩いて来る....
「仙人」より 著者:芥川竜之介
くい上げた。それから、それを掌《てのひら》でもみ合せながら、忙《せわ》しく足下へ
撒きちらし始めた。鏘々然《そうそうぜん》として、床に落ちる黄白《こうはく》の音が....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
ようとした。鳩はまた一しきり飛び立ちながら、柔かい羽根を雪のように紛々とあたりへ
撒《ま》き散らした。彼はそれを見るが早いか、今まで跨《またが》っていた太枝を掴《....
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
でお島婆さんに遇ったと云っても、すぐに切火《きりび》を打ったり、浪《なみ》の花を
撒《ま》いたりするくらいでした。が、その父親が歿くなって間もなく、お敏には幼馴染....
「星座」より 著者:有島武郎
色の襤褸屑《ぼろくず》のようになって、林檎《りんご》の皮なぞの散らかっている間に
撒《ま》き散らされていた。
「困るなあ、それにね、三隅のおぬいさんの稽古を君に頼....
「碁石を呑んだ八っちゃん」より 著者:有島武郎
前でひょこりひょこりと動いた。 その中に婆やが畳の上に握っていた碁石をばらりと
撒くと、泣きじゃくりをしていた八っちゃんは急に泣きやんで、婆やの膝からすべり下り....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
ければ、このときより 多くの人の心はそのために安からず恐れ悩めり。 また神は霧を
撒き散らしまた霞と雲を 空中に播き、また稲妻を引連れて、 風の軍勢はかしこに氷の....
「本所両国」より 著者:芥川竜之介
になった僕には「船橋屋」も容易に見つからなかった。僕はやむを得ず荒物屋の前に水を
撒いていたお上さんに田舎者らしい質問をした。それから花柳病の医院の前をやっと又船....