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「撓む〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

撓むの前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
艸木虫魚」より 著者:薄田泣菫
一度は掘り返して火に焼いてしまおうと思った、やくざな梨畑の樹という樹は、枝も撓むばかりに大きな果実を幾つとなくつけているのであった。 「その不思議な梨畑に出....
崩れる鬼影」より 著者:海野十三
ドと違って、こんなによく撓みます。しかも非常に硬い。こんなに硬くて、こんなによく撓むということは面白いことです。覚えていらっしゃるでしょうネ。あの化物の身体は、....
白金之絵図」より 著者:泉鏡花
面をお展き下され、老人思う所存が出来た!」 と熟と※った、目の冴は、勇士が剣を撓むるがごとく、袖を抱いてすッくと立つ、姿を絞って、じりじりと、絵図の面に――捻....
C先生への手紙」より 著者:宮本百合子
に包まれて、小鳥のように囀りながら歩み去る女を見る事が出来ます。しなしなと微風に撓む帽子飾の陰から房毛をのぞかせて、笑いながら扇を上げる女性の媚態も見られます。....
万葉秀歌」より 著者:斎藤茂吉
二首中の一首で、「※手折」をウチタヲリと訓むにつき未だ精確な考証はない。「打手折撓む」という意から、同音の、「多武」に続けた。多武峰は高市郡にある、今の塔の峯、....
追憶」より 著者:宮本百合子
大変益に立って、滑ろうとする足を踏みしめる毎に、躰の重味で細い杖が折れそうにまで撓むのを、どんなにハラハラして私は見て居たかしれない。 息をはずませながら私は....
ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
クリストフは引き抜いてきた松の木に身をささえる。その木は撓《たわ》む。彼の背骨も撓む。彼が出発するのを見た人々は、けっして向こうに着けはしないと言った。そして長....
久保田万太郎氏」より 著者:芥川竜之介
フの主人公と、面目を異にする所以なり。久保田君と君の主人公とは、撓めんと欲すれば撓むることを得れども、折ることは必しも容易ならざるもの、――たとえば、雪に伏せる....
フランケンシュタイン」より 著者:シェリーメアリー・ウォルストンクラフト
わが身を捧げた希望なのであった。そこで、月が私の真夜中の仕事を眺めているあいだ、撓むことなく、息つくひまもない熱心さで、自然をその隠れたところまで追求した。私が....
雪代山女魚」より 著者:佐藤垢石
鈎をくわえて水の中層を下流に向かって逸走の動作に帰れば、竿の穂先は折れんばかりに撓む。抜きあげて、掌に握った時の山女魚の肌の感触。これは釣りする人でなければ語り....
二階から」より 著者:岡本綺堂
た。 彼の敵は私ばかりではなかった。ある日強い南風が吹き巻って、松と槙との枝を撓むばかりに振り動かした。彼の巣もともに動揺した。巣の一部分は大きな魚に食い破ら....
五重塔」より 著者:幸田露伴
字を書き、岩をも転ばすべき風の突っかけ来たり、楯をも貫くべき雨のぶつかり来るたび撓む姿、木の軋る音、復る姿、また撓む姿、軋る音、今にも傾覆らんず様子に、あれあれ....
フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
うになって、強く突き立てた蝙蝠傘に思わず全身の重みを托したので、それが弓のように撓むと、その柄からボキリと折られてしまったものだ。柄にもない華奢な洋杖蝙蝠傘など....