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「撫でる〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

撫でるの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
路上」より 著者:芥川竜之介
ずフロックを着た中年の紳士が現れて、額《ひたい》に垂れかかる髪をかき上げながら、撫でるように柔《やさ》しくシュウマンを唱《うた》った。それは Ich Kann'....
婦系図」より 著者:泉鏡花
紐を引掴んで、横飛びに台所を消えようとして、 「赤いか、」 お蔦を見向いて面を撫でると、涼しい瞳で、それ見たかと云う目色で、 「誰が見ても……」と、ぐっと落着....
朱日記」より 著者:泉鏡花
鉄火箸で炭を開けて、五徳を摺って引傾がった銅の大薬鑵の肌を、毛深い手の甲でむずと撫でる。 「一杯|沸ったのを注しましょうで、――やがてお弁当でござりましょう。貴....
絵本の春」より 著者:泉鏡花
」 小僧はやっぱり夢中でいた。 「おい、新坊。」 と、手拭で頬辺を、つるりと撫でる。 「あッ。」 と、肝を消して、 「まあ、小母さん。」 ベソを掻いて、顔....
薬草取」より 著者:泉鏡花
しに含められて、膝に抱かれたから、一生懸命に緊乎縋り着くと、背中へ廻った手が空を撫でるようで、娘は空蝉の殻かと見えて、唯た二晩がほどに、糸のように瘠せたです。 ....
みさごの鮨」より 著者:泉鏡花
ほほほ、おほほほほほ。」 おや、顔に何かついている?……すべりを扱いて、思わず撫でると、これがまた化かされものが狐に対する眉毛に唾と見えたろう。 金切声で、....
草迷宮」より 著者:泉鏡花
、ぽたぽたと落ちたるが、今度は確に頬にかかった。 やっと冷たいのが知れて、掌で撫でると、冷りとする。身震いして少し起きかけて、旅僧は恐る恐る燈の影に透したが、....
陽炎座」より 著者:泉鏡花
東西。」 青月代が、例の色身に白い、膨りした童顔を真正面に舞台に出て、猫が耳を撫でる……トいった風で、手を挙げて、見物を制しながら、おでんと書いた角行燈をひょ....
薄紅梅」より 著者:泉鏡花
もだよ。――塾の中に一人、自ら、新派の伊井|蓉峰に「似てるです。」と云って、頤を撫でる色白な鼻の突出た男がいる。映山先生が洩れ聞いてね、渾名して、曰く――荷高似....
露肆」より 著者:泉鏡花
、煮込を一串引攫う。 こいつを、フッフッと吹きながら、すぺりと古道具屋の天窓を撫でるかと思うと、次へ飛んで、あの涅槃に入ったような、風除葛籠をぐらぐら揺ぶる。....
星女郎」より 著者:泉鏡花
辺の苗字だけでも窺っておこうものを、――心着かぬことをした。」 総髪をうしろへ撫でる。 「などと早や……」 三造は片手をちゃんと炉縁に支いて、 「難有う存じ....
ある自殺者の手記」より 著者:秋田滋
、もう髪は真ッ白になっている。おお、金色の髪の毛が縮れている若々しい額、やさしく撫でる手、物云う眼、皷動する心臓、唇を約束する微笑、抱愛を約束する唇!――そして....
白花の朝顔」より 著者:泉鏡花
が恍惚と薄目を開けると、友染を着た鴎のような舞子が二三羽ひらひらと舞込んで、眉を撫でる、鼻を掴む、花簪で頭髪を掻く、と、ふわりと胸へ乗って、掻巻の天鵞絨の襟へ、....
三枚続」より 著者:泉鏡花
が店で叩込んで、腕は利く、手は早し、それで仕事は丁寧なり、殊に剃刀は稀代の名人、撫でるようにそっと当ってしかも布を裂くような刃鳴がする、と誉め称えて、いずれも紋....
式部小路」より 著者:泉鏡花
に十四五人、ぶらぶらとあっちへこっちへ。暗の晩でね、空を見るのもありゃ、羽目板を撫でるのもあり。 その内に、例のかみさんが起きて出て、きっとだよ、それじゃ、と....