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撰り
「撰り〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
撰りの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「故郷」より 著者:井上紅梅
は彼をして一つの木偶とならしめた。「要らないものは何でも彼にやるがいいよ。勝手に
撰り取らせてもいい」と母は言った。 午後、彼は入用の物を幾つか
撰り出していた。....
「村芝居」より 著者:井上紅梅
喋舌った。 「さすがは大どころで育った学者だけあって、目が高い。乃公の豆は一粒|
撰りなんだぜ。田舎者にゃわからねえ。全く乃公の豆は、ほかのもんとは比べ物にならね....
「潜航艇「鷹の城」」より 著者:小栗虫太郎
、晩香波へ着く。それに、本船には大砲があるのだ。ヴィデ君、君も、砲術にかけては、
撰り抜きの名手じゃないか。ハハハハ、出たらグワンと一つ、御見舞申してもらいたいも....
「愛の為めに」より 著者:甲賀三郎
でしょうか」 「何を云うんだ。真昼間大勢の中で、棄子をする奴があるもんか。それに
撰りに撰って、貧乏書生なんかに渡す奴はないよ」 とは云いながら私にも実は不思議....
「蜜柑」より 著者:佐左木俊郎
いものでも――爺の病気見舞だ。」 弥平爺は、五銭白銅貨を二三枚お婆さんの枕元へ
撰り出した。 「あ、爺様や、こんなごどしねえだって。」 「ほんとに少しばりだげっ....
「黒白ストーリー」より 著者:杉山萠円
られた指環のケースを見た。その中の一つを欲しそうにした。 憲作は最大のダイヤを
撰り出して徳市にさし付けた。 令嬢の眼はそのダイヤに注いだ。怪しく光った。 ....
「幕末維新懐古談」より 著者:高村光雲
。 ところで、私の考えでは、この百観音の中に、優れたものが五、六体ある。それを
撰り出そう。まずそれを
撰り出すことが何よりも肝腎だ、とこう思いましたから、あっち....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
お馨さん死去の電報に接して二週間目の二月十六日、午餐の席に郵便が来た。彼此と
撰り分けて居た妻は、「あらッ、お馨さんが」と情けない声を立てた。
其はお馨さん....
「吾輩は猫である」より 著者:夏目漱石
すね、どれ拝見しましょう」と眺めていたが「あらいやだ、狸《たぬき》だよ。何だって
撰りに撰って狸なんぞかくんでしょうね――それでも狸と見えるから不思議だよ」と少し....
「海豹島」より 著者:久生十蘭
で、この島で比類のない無頼放縦な生活がつづけられていたのである。四人の大工土工は
撰りぬきのあぶれものぞろいで、土工の荒木と近藤は殺人未遂傷害の罪で、網走監獄で七....
「魔都」より 著者:久生十蘭
の事件を決済してしまうつもりでいたところ、悪運とでも申すべきか、迂濶な局長秘書が
撰りに選んで、こういう仕事にはもっとも不向きな真名古捜査課長にそれを命じてしまっ....
「小説 円朝」より 著者:正岡容
史的にも落語界での二大潮流だった。ほんとうにいま萬朝の怒る通り、ほんとうに小勇が
撰りに撰ってその柳派の大頭目たる春風亭柳枝のところへ、自分に無断で草鞋《わらじ》....
「四十八人目」より 著者:森田草平
なりながら言った。「考えてみると、気の毒なものじゃね。こうしてだんだん籾と糠とが
撰り分けられるんだよ」 「そうだ、籾と糠とが
撰り分けられるのだ」と、小平太はよう....
「木綿以前の事」より 著者:柳田国男
ひ習ふ声の出かぬる 珍碩 染めてうき木綿袷のねずみ色 里東
撰りあまされて寒き明ぼの 探志 この一聯の前の二句は、初心の新発意が....
「誘拐者」より 著者:山下利三郎
検べ、軈てもとのようにすると、押入を開けて本箱の中から数冊の書籍や前年度の日記を
撰り出して精密に調べ始めた、其間に渡邊は、此家の見取図を書くべく命ぜられて鉛筆を....