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「擂鉢〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

擂鉢の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
国貞えがく」より 著者:泉鏡花
おい》で、とも思う事があったので、黙っていた。 「ぬたをの……今、私《わっし》が擂鉢《すりばち》に拵《こしら》えて置いた、あれを、鉢に入れて、小皿を二つ、可《い....
白花の朝顔」より 著者:泉鏡花
物、狒々にしやがる。若奥様は聞いただけでも、禿祠で犠牲を取ったようだ。……黒門洞擂鉢大夜叉とでもいうかなあ。」 縁に差置いた湯気の立つおでんの盆は、地図に表示....
化銀杏」より 著者:泉鏡花
並びて勝手あり、横に二個の竈を並べつ。背後に三段ばかり棚を釣りて、ここに鍋、釜、擂鉢など、勝手道具を載せ置けり。廁は井戸に列してそのあわい遠からず、しかも太く濁....
迷信解」より 著者:井上円了
中には、抱腹にたえざること多ければ、試みにその二、三を挙ぐるに、頭痛のマジナイに擂鉢をかぶりて、その上に灸を点ずれば治すといい、また一法には、京橋の欄干北側の中....
黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
え、凸凹した緩斜の底に真黒な湖水があろうと云う――それにさも似た荒涼たる風物が、擂鉢の底にある墻壁まで続いている。その赭土褐砂の因をなしたというのは、建設当時移....
夫婦善哉」より 著者:織田作之助
ぼ》揚げてんかいナ」と待てしばしがなく、「よっしゃ、今揚げたアるぜ」というものの擂鉢《すりばち》の底をごしごしやるだけで、水洟《みずばな》の落ちたのも気付かなか....
春雪の出羽路の三日」より 著者:喜田貞吉
むろん深く雪の底に埋まっている。そこに新たに埋められた新墓が二基、雪を掘り上げた擂鉢の底のような所に、淋しく設けられているのはいっそう物哀れだ。雪国では葬式も容....
夏日小味」より 著者:北大路魯山人
こそぎ取る。こそぎ取った肉が三とすれば味噌七ぐらいの割合でいっしょにしたものを、擂鉢でよくすり、裏漉しせずに通常の味噌汁を拵えると同じ方法でこれを拵える。なべの....
昆布とろ」より 著者:北大路魯山人
冷ます(ただし刻み昆布一合煮だし二合ぐらい)。以上で材料は調ったわけである。次は擂鉢に前に刻んだ昆布を五勺とか一合入れる。一合なら五人前ぐらいになる。刻み昆布の....
若鮎の塩焼き」より 著者:北大路魯山人
けることが肝心である。 あゆはたで酢がつきものだが、たで酢の作り方はまずたでを擂鉢で摺り、絹漉しにかけ、後で酢を入れる。この場合たでの沈殿を防ぐために飯粒を入れて摺るとよい。....
秋の鬼怒沼 」より 著者:木暮理太郎
其方へ向って少し下ると笹が稍や深い。夫を押し分けて十二、三歩も進むと、俄然として擂鉢状の小窪地に行き当った。不意に足場を失った私は筋斗打ってのめり込もうとした体....
次郎物語」より 著者:下村湖人
交えて、三十数名のものが、土間に蓆をしいてずらりと二列に並ぶ。めいめいの前には、擂鉢型の浅い灰色の鉢に、一本の擂古木をそえたのが一つずつ置いてある。やがて、蝋油....
新樹の言葉」より 著者:太宰治
れるだろうが、事実は、派手に、小さく、活気のあるまちである。よく人は、甲府を、「擂鉢の底」と評しているが、当っていない。甲府は、もっとハイカラである。シルクハッ....
棚田裁判長の怪死」より 著者:橘外男
ぬ、無人の小島がある。全島足の踏み込み場もないまでに、背丈くらいの松が密生して、擂鉢を伏せたような恰好のいい小島は、市人から親しまれ、絶好のピクニック場と、目さ....
トコヨゴヨミ」より 著者:田山花袋
いて呉れた裏店のような三軒つづきの狭い家にやがて皆なは落附くことになった。それは擂鉢の底のようになっている処で、ちょっとの隙間もなく家が一面に建て込んであった。....