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「擦れる〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

擦れるの前後の文節・文章を表示しています。該当する8件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
青春の逆説」より 著者:織田作之助
に行くと言えないのが彼の厄介な精神なのである。入口には破れ靴やボロ布や雑巾が頭と擦れる位の高さにぶら下げてあり、その一つの赤い布には「浜口雄幸氏三高時代愛用の褌....
虞美人草」より 著者:夏目漱石
か、強《こわ》き項《うなじ》を真直《ますぐ》に立てたまま、藤蔓と擦《す》れ、舷と擦れる。櫂は一掻ごとにぎいぎいと鳴る。 岸は二三度うねりを打って、音なき水を、....
追憶」より 著者:芥川竜之介
に出合った。歩兵は銃を肩にしたまま、黙って進行をつづけていた。が、その靴は砂利と擦れるたびに時々火花を発していた。僕はこのかすかな火花に何か悲壮な心もちを感じた....
草迷宮」より 著者:泉鏡花
、聞こえぬ耳に調を通わす、幽に触る手と手の指は、五ツと五ツと打合って、水晶の玉の擦れる音、戦く裳と、震える膝は、漂う雲に乗る心地。 ああこれこそ、我が母君……....
次郎物語」より 著者:下村湖人
絹夜具の膚触りが、いやに冷たくて気味が悪かった。おまけに、皹の切れた手足がそれに擦れるたびにばりばりと異様な音を立てるので、彼はびくびくした。 夜具にくるまり....
二都物語」より 著者:佐々木直次郎
鈴のように鳴り響いた。そして、それの鳴り響く音や、絹や金襴や上質の亜麻のさらさら擦れる音などのために、そこの空気の中には、サン・タントワヌと彼のがつがつした飢餓....
金狼」より 著者:久生十蘭
安心したように机へ向きなおろうとすると、また、ゴトリと鳴った。かすかに靴底の擦れる音がきこえる。……そっと誰れか階段をあがってくるのだ。抽斗のなかへ手早く写....
後の日の童子」より 著者:室生犀星
うと、笏は自宅の方へ引きかえそうとした。 と、すぐ垣根にそうた暗みへ犬の足豆が擦れるような音がして、小さい影があるいて行った。からたちの垣根ばかりだからそのと....