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擦れ合う
「擦れ合う〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
擦れ合うの前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「地中魔」より 著者:海野十三
るような恰好で、その蔭にうつ伏していた。 ギギーッ。三吉の耳許で、突然、金属の
擦れ合う音がした。はッと驚いて、頭をあげてみると、いままで岸壁のように揺らぎもし....
「綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
た。甲の男のかかえて来るチャブ台に突き当るやら、乙の女の提げてくる風呂敷づつみに
擦れ合うやら、ようようのことで安田銀行支店の角まで帰り着いて、人通りのやや少ない....
「神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
声がした。 「鏡をご覧なさいまし」 しばらく物音が聞こえなかった。 と枯葉の
擦れ合うような、老人の声が聞こえて来た。 「誰だ、誰だ、この男は※」 「伴源之丞....
「蟇の血」より 著者:田中貢太郎
した。 讓は入って往った。女は扉を支えるようにして身をかた寄せた。讓は女の体と
擦れ合うようにして内へはいった。と、女は後から跟いて来た。扉は女の後でまた音もな....
「縮図」より 著者:徳田秋声
気筋の客で、夏は旅館も別荘も一杯になり、夜は石の段々を登り降りする狭い街が、肩の
擦れ合うほどの賑わいなのだが、銀子の行った時分には、まだそれほどでもなく部屋は空....
「旅愁」より 著者:横光利一
はまた階段を登っていった。矢代は吊り上げるように真紀子を支えねばならぬので、ふと
擦れ合う胴の触感から醒める暗黙の危機を感じた。実際こんなに千鶴子にも同様この危機....
「地球要塞」より 著者:海野十三
た。 艇のエンジンは、とつぜん停った。 ぎいイ、ぎいイ、ぎいイ――と、金属の
擦れ合う高い音がきこえる。わが艇は、ついに潜水洞の中につき、今台のうえにのって、....
「大使館の始末機関」より 著者:海野十三
をのぞきこむようにして、押釦の一つをぷつんと押した。すると、がちゃがちゃと金属の
擦れ合う賑かな音がしたかと思うと、その豆戦車はばらばらになり、やがてそのこまごま....
「踊る地平線」より 著者:谷譲次
い都会の誘惑とが、人々を占領した。そこにもここにも、出発前の上吊った声と、着物の
擦れ合う音とがあった。騒乱の中から、さっきの荷物運搬人が現われて、予約してある寝....
「宝島」より 著者:佐々木直次郎
のように轟いている寄波の音が聞えたばかりではなく、樹の葉のざあざあ鳴る音や大枝の
擦れ合う音までが聞えて来たので、海風がいつもよりも強く海岸に吹きつけていることが....
「大鵬のゆくえ」より 著者:国枝史郎
ら来た。 「何んの音かな? これは変じゃ」 すると今度は、サラサラという、物の
擦れ合う音がした。 「何んの音かな? これはおかしい」 こう口の中で呟いた時、....
「春」より 著者:岡本かの子
再びそれらの雑多な感情が蘇って来た。それらは周囲の静寂につれて京子の脳裡に劇しく
擦れ合うのであった。 静かな夜である。近隣の家々は、よどんだ空気の中に靄に包ま....
「十番雑記」より 著者:岡本綺堂
た。甲の男のかかえて来るチャブ台に突き当るやら、乙の女の提げてくる風呂敷づつみに
擦れ合うやら、ようようのことで安田銀行支店の角まで帰り着いて、人通りのやや少いと....
「黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
な叺を背負って腕組みをしながら登って来る人夫の姿が朧ろげに現れる、もう鼻と鼻とが
擦れ合う程に近寄っている、互に挨拶の言葉をいい交わして、一歩下りさま振り返った時....