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「擦過〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

擦過の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
恐怖城」より 著者:佐左木俊郎
死体に手をかけて、前の姿勢から半分ほども起き返らしてみた。死体には別に、岩角での擦過傷というようなものはなかった。胸から脇腹《わきばら》にかけて、出血のために着....
地獄街道」より 著者:海野十三
。但し三人の住所は近所ではなくバラバラであった。第三に三人の屍体は同様の打撲傷や擦過傷に蔽われていたが、別にピストルを射ちこんだ跡もなければ、刃物で抉った様子も....
デパートの絞刑吏」より 著者:大阪圭吉
いた。更に又、屍体の所々――両方の掌、肩、下顎部、肘等の露出個所には、無数の軽い擦過傷が痛々しく残り、タオル地の寝巻にも二、三の綻ろびが認められた。 私がこの....
気狂い機関車」より 著者:大阪圭吉
く、顱頂骨の後部に近くアングリ口を開いた打撲傷や、その他全身の露出面に亙る夥しい擦過傷等も明かになった。 私達は協力して暫くその辺を探して見たが、勿論殺害に使....
温泉」より 著者:梶井基次郎
て白い瀬のたぎりが見え、溪ぎわから差し出ている楓の枝が見え、ときには弾丸のように擦過して行く川烏の姿が見えた。 断片 三 温泉は街道から幾折にもなっ....
カンカン虫殺人事件」より 著者:大阪圭吉
面も、露出された肩も足も、一様にしらはじけて、恐ろしく緊張を欠いた肌一面に、深い擦過傷が、幾つも幾つも遠慮なく付いている。裸けられた胸部には、丁度心臓の真上の処....
踊る地平線」より 著者:谷譲次
、また地中海が私たちを追跡しているのであることを知った。 ジェノアは、真夜中に擦過するに相違ない。ルセアニア人は、巴里ラプレ商店製の印のある靴を脱いで、その茶....
群集」より 著者:豊島与志雄
分けて馬を駆けさしてる兵士を、驚異の眼で見守っていた。馬腹や足先で人の肩や帽子を擦過しながら巧みに疾駆し廻っている人馬は、よほどの熟練を経たものに違いなかった。....
レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
びおりた。恐怖のためか元気を出したのか、コゼットは息をも潜めていた。両手には少し擦過傷《すりきず》がついていた。 六 謎《なぞ》のはじめ ジャン・ヴァルジ....
レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
では少しもなされなかった。彼は黙々として人を救っていた。その上、彼はただわずかな擦過傷《かすりきず》を受けたのみだった。弾は彼にあたることを欲しなかった。彼がこ....
「マリー・ロオジェ事件」の研究」より 著者:小酒井不木
者の場合に見られるような泡は見えず、細胞組織には変色はなかった。咽喉のまわりには擦過傷がついており、指の痕がのこっていた。両方の腕は胸の上に曲げられて剛直してお....
宝永噴火」より 著者:岡本かの子
し、思い切ってそれを始めると、超現実的な大気が、音も無い風となって、皮膚の全部を擦過する。そして孤独にも孤独の痛快味がわれとわが空虚のうちを慰め潤おし、それが弾....
春心」より 著者:田中貢太郎
関銃の音がよみがえった。砲煙、銃火、連隊旗、剣、赤鬼のような敵兵。 (左の脇腹に擦過傷を一つ負うただけで、金鵄勲章をもらって、人からは日露戦争の勇士だの、なんだ....
歌う白骨」より 著者:妹尾アキ夫
のようなものに食い荒らされているものだが、そんな様子もなく、ただ後頭部に不規則な擦過傷があるだけで、そのほかには骨折もなければ、大きい傷もなかった。 ソーンダ....
オスカー・ブロズキー事件」より 著者:妹尾アキ夫
たの?」 「それはなんでもないことだ。そしてまちがいなしだ。左のこめかみのへんに擦過傷があったのは、君も見ただろう? あのくらいの傷は汽車にひかれたってできるわ....