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擾
「擾〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
擾の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「玄鶴山房」より 著者:芥川竜之介
芳に文太郎をつれて来て貰うように勧め出した。お鈴は母の気もちの外にも一家の空気の
擾《みだ》されるのを惧《おそ》れ、何度も母に考え直させようとした。(その癖又一面....
「報恩記」より 著者:芥川竜之介
顔に鬚《ひげ》の生えた、浪人だと云うではありませんか? 歌舞伎《かぶき》の小屋を
擾《さわ》がしたと云う、腰の曲った紅毛人《こうもうじん》、妙国寺《みょうこくじ》....
「神神の微笑」より 著者:芥川竜之介
橄欖《かんらん》や月桂《げっけい》は、ひっそりと夕闇に聳えていた。ただその沈黙が
擾《みだ》されるのは、寺の鳩《はと》が軒へ帰るらしい、中空《なかぞら》の羽音《は....
「奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
んでいる彼女自身を見出したのだった。
しかしそう云う幻覚のほかにも、お蓮の心を
擾《さわが》すような事件は、現実の世界からも起って来た。と云うのは松もとれない内....
「黒衣聖母」より 著者:芥川竜之介
親が十《とお》か十一の秋だったそうです。年代にすると、黒船が浦賀《うらが》の港を
擾《さわ》がせた嘉永《かえい》の末年にでも当りますか――その母親の弟になる、茂作....
「毛利先生」より 著者:芥川竜之介
卓《テエブル》から立上ると、それが静にした心算《つもり》でも、やはり先生の注意を
擾《みだ》したのであろう。自分が椅子を離れると同時に、先生はあの血色の悪い丸顔を....
「青年と死」より 著者:芥川竜之介
――ここにもある。
――そら、そこへ逃げた。
――逃がすな。逃がすな。
騒
擾。女はみな悲鳴をあげてにげる。兵卒は足跡をたずねて、そこここを追いまわる。灯が....
「忠義」より 著者:芥川竜之介
か》を通る人の足音とか、家中《かちゅう》の者の話声とかが聞えただけで、すぐ注意が
擾《みだ》されてしまう。それがだんだん嵩《こう》じて来ると、今度は極《ごく》些細....
「或る女」より 著者:有島武郎
を取るのをはなはだしく不快に思っているようです。岡君は人にもらし得ない家庭内の紛
擾《ふんじょう》や周囲から受ける誤解を、岡君らしく過敏に考え過ぎて弱い体質をます....
「義血侠血」より 著者:泉鏡花
車はこれがために傾斜して、まさに乗り合いを振り落とさんとせり。 恐怖、叫喚、騒
擾《そうじょう》、地震における惨状は馬車の中《うち》に顕《あら》われたり。冷々然....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
ッグロで終わる音楽の一片を思い起こさすだろう。がやがやと騒ぐ聴衆のような雲や波の
擾乱の中から、漁夫たちの鈍い Largo pianissimo とも言うべき運動....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
合っていること、また多くの太陽が互いに十分遠く離れているために彼らの遊星が相互に
擾乱を生ずる恐れのないこと、こういう驚嘆すべき機構は、何ものか一つの智恵ある全能....
「阿Q正伝」より 著者:井上紅梅
議なことでもないが、ただ一つ恐ろしいのは、ほかに幾らか不良分子が交っていて内部の
擾乱を計っていることだ。そうして二言目には手を動かして辮子を剪った。聴けば隣村の....
「雑文的雑文」より 著者:伊丹万作
ロシヤには俳優の出ない映画などもできているが、日本の興行価値を主とする映画で俳
擾の出ない写真というのは目下のところではまずない。作者なり監督なりが直接見物に話....
「取舵」より 著者:泉鏡花
わりつ。 天は昏※として睡り、海は寂寞として声無し。 甲板の上は一時|頗る喧
擾を極めたりき。乗客は各々生命を気遣いしなり。されども渠等は未だ風も荒まず、波も....