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「攫む〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

攫むの前後の文節・文章を表示しています。該当する10件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
悪獣篇」より 著者:泉鏡花
れども、さて、どこ、という目的がないので、船で捜しに出たのに対して、そぞろに雲を攫むのであった。 目の下の浜には、細い木が五六本、ひょろひょろと風に揉まれたま....
四十年前」より 著者:内田魯庵
や疑問の種子となって、喧々囂々の批評が更に新らしく繰返された。 が、風説は雲を攫むように漠然として取留めがなく、真相は終に永久に葬むられてしまったが、歓楽極ま....
贋物」より 著者:葛西善蔵
よりも、いつになったらその創作というものができて収入の道が開けるのか、まるで雲を攫むようなことを言ってすましていられる兄の性格が、羨ましくもあり憎々しくもあるよ....
ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
由な海は人の心を解放する。 思案なんぞを誰がしているものか。 なんでも手ばしこく攫むに限る。 肴も捕れば舟も捕る。 舟三艘の頭になると、 四艘目の舟も、鉤索で引....
風流仏」より 著者:幸田露伴
使って仕舞った、変改はとても出来ぬ大きに御世話、御茶でもあがれとあくまで罵り小兎攫む鷲の眼ざし恐ろしく、亀屋の亭主も是までと口を噤むありさま珠運|口惜く、見れば....
松と藤芸妓の替紋」より 著者:三遊亭円朝
実検の為に剃ったので、大将へ首実検いたさするに指を髻に三本入れた時に(右の手にて攫む)斯う髻を取って大将の前に備える時に死顔が柔かに見える、前が剃って有ると又|....
少女病」より 著者:田山花袋
訣は人に教わるまでもなく、自然にその呼吸を自覚していて、いつでもその便利な機会を攫むことを過らない。 年上の方の娘の眼の表情がいかにも美しい。星――天上の星も....
蒲団」より 著者:田山花袋
る考は無い。そういう明らかな定った考があれば前に既に二度までも近寄って来た機会を攫むに於て敢て躊躇するところは無い筈だ。けれどその愛する女弟子、淋しい生活に美し....
物理学の応用について」より 著者:寺田寅彦
る事である。渾沌とした問題を処理する第一着手は先ず大きいところに眼を着けて要点を攫むにあるので、いわゆる第一次の近似である。しかし学者が第一次の近似を求めて真理....
花園の思想」より 著者:横光利一
は他の花の匂いを殺してしまう。―― 「そうだ、この花は、英雄だ。」 彼は百合を攫むと部屋の外へ持ち出した。が、さて捨てるとなると、その濡れたように生き生きとし....