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放心
「放心〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
放心の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「疑惑」より 著者:芥川竜之介
時の私の心もちは、驚いたと申しましょうか。慌《あわ》てたと申しましょうか。まるで
放心したのも同前で、べったりそこへ腰を抜いたなり、ちょうど嵐の海のように右にも左....
「影」より 著者:芥川竜之介
――間違わないように。さようなら。」
受話器を置いた陳彩《ちんさい》は、まるで
放心したように、しばらくは黙然《もくねん》と坐っていた。が、やがて置き時計の針を....
「或恋愛小説」より 著者:芥川竜之介
カフェのテエブルに妙子の手紙の封を切るのです。窓の外の空は雨になっている。達雄は
放心したようにじっと手紙を見つめている。何だかその行《ぎょう》の間《あいだ》に妙....
「捨児」より 著者:芥川竜之介
や、当座ばかりじゃありません。それ以来かれこれ半年《はんとし》ばかりは、ほとんど
放心同様な月日さえ送らなければならなかったのです。
「その悲しみが薄らいだ時、ま....
「秋山図」より 著者:芥川竜之介
の古趣が自《おのずか》ら漲《みなぎ》っているような画なのです。
煙客翁はまるで
放心したように、いつまでもこの画を見入っていました。が、画は見ていれば見ているほ....
「二つの手紙」より 著者:芥川竜之介
、再現するだけの勇気がございません。私は思わず、友人の肘《ひじ》をとらえたなり、
放心したように往来へ立ちすくんでしまいました。その時、外濠線《そとぼりせん》の電....
「或る女」より 著者:有島武郎
てたように古藤の事なんぞは忘れてしまって、手欄《てすり》に臂《ひじ》をついたまま
放心して、晩夏の景色をつつむ引き締まった空気に顔をなぶらした。木部の事も思わない....
「義血侠血」より 著者:泉鏡花
眸子《まなじり》も凛如《りんじょ》として、正しく結びたる脣《くちびる》は、夢中も
放心せざる渠が意気の俊爽《しゅんそう》なるを語れり。漆のごとき髪はやや生《お》い....
「夜行巡査」より 著者:泉鏡花
。 渠は前途に向かいて着眼の鋭く、細かに、きびしきほど、背後《うしろ》には全く
放心せるもののごとし。いかんとなれば背後はすでにいったんわが眼《まなこ》に検察し....
「白妖」より 著者:大阪圭吉
……十七回の誕生日なら、ナイフの主は十八ですよ」 「十八?……」と警部補は、暫く
放心したように立竦んでいたが、直ぐに周章ててポケットからノートをとり出し、顫える....
「地球要塞」より 著者:海野十三
き》づいたのであった。いや、全く、本当の話である。それほど、私はずいぶん永いこと
放心の状態にあった。 (警鈴が鳴っているのに、オルガ姫は、なぜ出ないのであろう)....
「坑鬼」より 著者:大阪圭吉
大事を目の前にして、その頃から菊池技師の態度に不思議な変化が起って行った。それは
放心したような、立ったまま居睡りを始めたような、大胆にも異様に冴え切った思索の落....
「ピストルの使い方」より 著者:泉鏡花
の水さえ救の露のしたたるか、と多津吉は今は恋人の生命を求むるのに急で、焦燥の極、
放心の体でいるのであったが。 「近視の伜が遣りそうな事だわい。不埒ものめが。……....
「勝ずば」より 著者:岡本かの子
にやった。 着物を父親に着換えさせられてからも政枝は軽く眼を閉じて、いつまでも
放心状態を続けた。その側に多可子は浴衣の上に伊達巻をまいたばかりで隣町の自家へ朝....
「ベートーヴェンの生涯」より 著者:ヴェーゲラーフランツ・ゲルハルト
。会話のとき、まだこれを感づいた人々の無いのが不思議なくらいだ。僕がもともとよく
放心状態に陥るくせがあるものだから、人々はやはりそれだと思い込むのだろう。人が低....