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放擲
「放擲〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
放擲の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「水害雑録」より 著者:伊藤左千夫
果してできるかと自問した。自分の心は無造作にできると明答した。文芸を三、四年間|
放擲してしまうのは、いささかの狐疑も要せぬ。 肉体を安んじて精神をくるしめるの....
「金魚撩乱」より 著者:岡本かの子
。 復一は真佐子へも真佐子の父へも手紙の返事を出さず、金魚の研究も一時すっかり
放擲して、京洛を茫然と遊び廻った。だが一ヶ月ほどして帰って来た時にはすでに復一の....
「鶴は病みき」より 著者:岡本かの子
てからまたこっちへ来ようと思ったんですけど、今朝起きたら面倒になっちまって万事|
放擲して来ちまいました。」私「お宅では、皆さん待っていらっしゃるんでしょう。」氏....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
人伸子が、拳銃で狙撃され即死を遂げたという旨を告げた。それを聴くと、事件を全然|
放擲しかねまじい失意を、法水が現わしたばかりでなく、せっかく見出した確証を掴もう....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
賞められたが憎くねえだし、またそれまでに思わっしゃるものを、ただわかりましねえで
放擲しては、何か私、気が済まねえ。 そこで、草原へ蹲み込んで、信にはなさります....
「霊訓」より 著者:浅野和三郎
合わなければ、多くの中から、御意に召した箇所を選び出し、御意に召さぬ箇所は勝手に
放擲して、ここに継ぎ綴ぎだらけの、自家用の啓示録を製造する。すべての宗派の発生は....
「加利福尼亜の宝島」より 著者:国枝史郎
人どもと交際をし今日まで暮らして参りました。最近聖典を失いましたため、一時研究を
放擲しましたが、大挙して諸君が参られたからは、再び勇気を揮い起こし、所期を貫徹致....
「雑文的雑文」より 著者:伊丹万作
物理学的困難にまで逢着しなければならぬ不便があるため、残念ながら我々はこの方法を
放擲せざるを得ないのである。 ところが事実において今日相当の年配と教養とを一身....
「太陽系統の滅亡」より 著者:木村小舟
老ドクトル閣下、吾々は今や父祖累代の財宝金銀、あらゆる物をば、全く土芥のごとくに
放擲したのである。今やこの五尺の体躯こそ、最も貴重すべき宝となったではないか、そ....
「幼き頃の想い出」より 著者:上村松園
て、特に興味を惹かれますのは、評判の呼び物は勿論でございますが、それよりも片隅に
放擲されて、参観者の注視から逸して淋しく蹲って居る故も解らぬ品物でございます。そ....
「二葉亭余談」より 著者:内田魯庵
かされたと思うと直ぐコロリと一転下して、一端口外した自家意中の計画をさえも容易に
放擲して少しも惜まなかったのはちょっと類の少ない負け嫌いであった。こういう旋毛曲....
「チベット旅行記」より 著者:河口慧海
らぬ習慣があるものですから。そこでじきに逃げ込んでしまうのです。
秘剣を花嫁に
放擲す
そうすると予て門内に待ち受けて居る人のいいますには「この門に対してシ....
「素人製陶本窯を築くべからず」より 著者:北大路魯山人
自覚し、これが幻滅を感じられたらしく、仁清再現の企図だけは計画いくばくもなくして
放擲せられた……を人から聞き知った。 この時……この際、翁にして製陶事容易にあ....
「欧米各国 政教日記」より 著者:井上円了
るの風あり。ゆえに、一、二の不道徳者の宗教家中にあるときは、世人これを宗教の外に
放擲して、決してその罪を宗教に帰せず。しかるにわが日本のごときは、宗教家に不道徳....
「扉の彼方へ」より 著者:岡本かの子
ある点無茶な男でね。これが一番人生で、値打ちがあると信じたことに向っては、万事を
放擲して目的に取り組む。普段は随分打算家で、世間師の僕だがね。ここのところを君の....