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放散
「放散〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
放散の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「路上」より 著者:芥川竜之介
姿は、いよいよその振っている手巾《ハンケチ》から、濃厚に若い女性の※《におい》を
放散せずにはすまさなかった。
「そりゃ盛《さかん》ですね。」
「盛ですとも。です....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
は固体の皮殻をもっているから、太陽から受取っているとほとんど同量の熱を天の空間に
放散し、そうすることによってほとんど恒同な温度を保っている。しかるに、上記の法則....
「柿色の紙風船」より 著者:海野十三
だ。絶望、絶望、大絶望だった。数万の毛穴から、身体中のエネルギーが水蒸気のように
放散してしまった。私は脱ぎ捨てられた着物のようになって、いつまでも床の上に倒れて....
「金魚撩乱」より 著者:岡本かの子
こう復一の意識は繰り返しながら、肉情はいよいよ超大な魅惑に圧倒され、吸い出され、
放散され、やがて、ただ、しんと心の底まで浸み徹った一筋の充実感に身動きも出来なく....
「谷より峰へ峰より谷へ」より 著者:小島烏水
ともすると、腹這いになる、美しい花が私の面を撲って、甘酸っぱい匂いが、冴えた空に
放散する、嶮しい岩角で、一足踏み辷らすと、大変なことになると思いながらも、花の匂....
「不尽の高根」より 著者:小島烏水
ような裾野となって、富士の登山が一しお悦ばれるのは、絨氈を布く緑青の草と、湿分を
放散する豊富な濶葉樹林とにあろう。旅人がアンデスの登山を悦ぶのは、麓が永久の春で....
「艸木虫魚」より 著者:薄田泣菫
人間に愛敬せられるとともに、また松脂くさいその葉の呼吸で、あたりの大気に新鮮さを
放散し、人間の気分に一味の健かさを与えている。私はこれまで自分の心に憂鬱の雲がか....
「油絵新技法」より 著者:小出楢重
ところの山水を描き、永久に人間であるところの裸体の安定を描き、常に新鮮なる食慾を
放散するところの菜果を描いて画面に統一をつけているように思える。だから展覧会では....
「大切な雰囲気」より 著者:小出楢重
間風景は子供である私の心を刺した。全く日本の床の間は色彩と自然と芸術をなし崩しに
放散して、日本人の生活に重い役目を仕っている。 四条派の絵画も近代の展覧会場で....
「巴里祭」より 著者:岡本かの子
り承知した。新吉は夫人のしつこさに復讐したような小気味よさを感じたが、年若な娘の
放散する艶々しい肉体の張りに夫人の魅力が見る/\皺まれて行くのも気の毒だった。 ....
「夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
ら樫の枝が裂ける。痛い血を流すかわりに、樫の生木はその裂け目から一種強烈な香気を
放散する。それは強くはあるが、またどこやら仄かなところがあり、人を深みに誘い込む....
「なよたけ」より 著者:加藤道夫
だ。じっと一点を凝視するってことがないんだ。行方も分かぬ、虚空の彼方にぎらぎらと
放散しているんだ。定かならぬ浮雲のごとく天の原に浮游しているんだ。天雲の行きのま....
「暗黒星」より 著者:黒岩涙香
くて何故にこう明るいのか、天地一面に輝いて見えるのは何であるのか。 他無し太陽が
放散して霧の様な簇団となり満天に広がったのだ。この霧や水気の霧では無くて光の霧で....
「欧米各国 政教日記」より 著者:井上円了
るところの結果は、米国今日の文明なり。しかるに、今日にありては血管中の熱はすでに
放散して、ただわずかに皮膚の上に余熱を存するのみ。婦人は美服を新調して日曜を待ち....
「宝永噴火」より 著者:岡本かの子
派手な男性的な顔付きであったことが想像される。現実的でエネルギッシュな人体電気を
放散させていたに違いあるまいが、一方宗教家に特有で、人間としては欠目のように思わ....