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「敢えず〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

敢えずの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
並《けなみ》を眺めていた。が、追い追いその沈黙が、妙に苦しくなり始めたので、とり敢えず話題を開拓すべく、目前の馬を指さしながら、 「好い馬だな。持主は誰だい。」....
幽霊塔」より 著者:黒岩涙香
び去られた。 余の怪我と聞いて、頓て叔父を初め大勢の人も馳け附けた、叔父は取り敢えず余を一番近い寝間へ寝かせようと云ったけれど、余は矢張り塔の四階に在る余の寝....
空襲葬送曲」より 著者:海野十三
た。部署に最少限度の兵員を残して、あと二十名ばかりのものが集ってきた。彼等は、取敢えず、三門の機関銃を敷いた。 「少尉殿」耳の側で、伝令兵が叫んだ。 少尉は首....
無惨」より 著者:黒岩涙香
る如き死骸陳列所の設けも無きゆえ何時までも此儘に捨置く可きに非ず、最寄区役所は取敢えず溺死漂着人と見做して仮に埋葬し新聞紙へ左の如く広告したり 溺死人男年齢三....
霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
て御話しをいたし、そろそろこの拙き通信を切り上げさせて戴こうと存じます。 取り敢えず祭神となってからの生活の変化と言ったような点を簡単に申上げて置こうかと存じ....
沙漠の古都」より 著者:国枝史郎
事に上陸したと入電した時の嬉しさは言葉で説明なんか出来ません。それで取る物も取り敢えず駈けつけて来たのでございますよ……」 ――この一行の探検隊の先乗りとして....
寡婦」より 著者:秋田滋
場所まで来て、うえを見て下さい。 私は気でも狂うかと思いました。取るものも取り敢えず、あわてて着物を著ると、私は云われた場所まで駈けて行ったのです。私は駈けま....
鴎外博士の追憶」より 著者:内田魯庵
ン・ネエムは知っていても本名は知らなかったので失礼した、アトで偶っと気がついて取敢えずお詫びに上ったがお留守で残念をした、ドウカ悪く思わないで復た遊びに来てくれ....
二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
は材料となるべき書籍を折々廻附してもらいたいといった。私は大いに同感を表して、取敢えず手許に有合わした『開国五十年史』を贈り、註文次第何でも送ると快諾したが、露....
ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
堪えぬ。 寄附の地所の境界は、お前勝手に極めてくれい。 大司祭 先ず取り敢えず、あの罪悪の場所であった、 咀われた土地を、なるべく早く、尊い祭の場所にす....
梟の眼」より 著者:大倉燁子
このまま、黙って、知らぬ顔をしていようか――。 彼女は指輪を半紙に包んで、取り敢えず人目に触れない箪笥の抽斗の奥に入れて、錠を下し、熱した頭を冷す積りでヴェラ....
情鬼」より 著者:大倉燁子
すから、まだ墓地がなかったんでございます。昨年|嫂が外国で死くなりました時は、取敢えずお骨を嫂の実家の墓地へ同居させてもらっておきましたが、この度兄と一緒に葬る....
蛇性の執念」より 著者:大倉燁子
、来賓に化けてまざれ込み、突然文夫さんの前に現われたんだそうです。文夫さんは取り敢えず叔父様を自分の書斎に連れて行きました。ごたごたしていたので文夫さんの姿の見....
黒猫十三」より 著者:大倉燁子
たりしながら、漸ッとの思いでアパートの階段に辿り着き、自分の部屋まで運んで、取り敢えず壁際のベッドの上に横え、始めて電気の下で少女の顔を見た。 何という可愛ら....
戦争史大観」より 著者:石原莞爾
と前後重複するところもあり、補修すべき点も少なくないが、現役最後の思い出として取敢えずこのまま世に出すこととした。 昭和十六年四月八日 於東京 石原莞爾 ....