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散らす
「散らす〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
散らすの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「河童」より 著者:芥川竜之介
す。すると僕の妹は急に顔色を変えたと思うと、『どうせわたしは虫取り菫よ』と当たり
散らすじゃありませんか? おまけにまた僕のおふくろも大《だい》の妹|贔屓《びいき....
「或る女」より 著者:有島武郎
心で、早月家の善後策について、さも重大らしく勝手気ままな事を親切ごかしにしゃべり
散らすのを聞かされた時、どうにでもなれという気になって、暴《あば》れ抜いた事が、....
「或る女」より 著者:有島武郎
気のまわった倉地は、女の肉感をそそり立てるようなにおいを部屋《へや》じゅうにまき
散らす葉巻をふかしながら、葉子を尻目《しりめ》にかけた。
「それは結構。だがおれ....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
付けをしたりして、黒ずんだ自然の中に、毛布の甲がけや外套のけばけばしい赤色をまき
散らす季節にはなったろう。このころ私はまた妙に君を思い出す。君の張り切った生活の....
「吉原新話」より 著者:泉鏡花
、画を描き彫刻をする人もある、その美しいものは、私等が国から、遠く指す花盛じゃ、
散らすは惜しいに因って、わざと除らぬぞ!……何が、気の弱い此方たちが、こうして人....
「夜叉ヶ池」より 著者:泉鏡花
、湯尾峠の万年姥が、某へ内意==降らぬ雨なら降るまでは降らぬ、向後汚いものなど撒
散らすにおいてはその分に置かぬ==と里へ出て触れい、とある。ためにの、この鰭を煩....
「紅玉」より 著者:泉鏡花
た硝子の器の中へ密と蔵ってもおこうものを。人間の黒い手は、これを見るが最後|掴み
散らす。当人は、黄色い手袋、白い腕飾と思うそうだ。お互に見れば真黒よ。人間が見て....
「妖僧記」より 著者:泉鏡花
媼は更に取合ねど、鼻はなおもずうずうしく、役にも立たぬことばかり句切もなさで饒舌
散らす。その懊悩さに堪えざれば、手を以て去れと命ずれど、いっかな鼻は引込まさぬよ....
「革鞄の怪」より 著者:泉鏡花
並んだ小屋は軒別に、声を振立て、手足を揉上げ、躍りかかって、大砲の音で色花火を撒
散らすがごとき鳴物まじりに人を呼ぶのに。 この看板の前にのみ、洋服が一人、羽織....
「菎蒻本」より 著者:泉鏡花
。 その燃えさしの香の立つ処を、睫毛を濃く、眉を開いて、目を恍惚と、何と、香を
散らすまい、煙を乱すまいとするように、掌で蔽って余さず嗅ぐ。 これが薬なら、身....
「白金之絵図」より 著者:泉鏡花
遣ったのは、魚勘の小僧で、赤八、と云うが青い顔色、岡持を振ら下げたなりで道草を食
散らす。 三光町の裏小路、ごまごまとした中を、同じ場末の、麻布田島町へ続く、炭....
「茸の舞姫」より 著者:泉鏡花
家の土産の雉、山鳥、小雀、山雀、四十雀、色どりの色羽を、ばらばらと辻に撒き、廂に
散らす。ただ、魚類に至っては、金魚も目高も決して食わぬ。 最も得意なのは、も一....
「寡婦」より 著者:秋田滋
母は、たわむれに、昔から語り伝えられて来た、一家のさまざまな話、先祖たちの火花を
散らすような恋愛事件をのこらず語って聞かせるのでした。なぜかと云いますと、世間で....
「瓜の涙」より 著者:泉鏡花
にしよう…… 蓋し、この年配ごろの人数には漏れない、判官贔屓が、その古跡を、取
散らすまい、犯すまいとしたのであった―― 「この松の事だろうか……」 ――金石....
「罪人」より 著者:アルチバシェッフミハイル・ペトローヴィチ
く足音は、穹窿になっている廊下に反響を呼び起して、丁度大きな鉛の弾丸か何かを蒔き
散らすようである。 処刑をする広間はもうすっかり明るくなっている。格子のある高....