散在[語句情報] » 散在

「散在〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

散在の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
松江印象記」より 著者:芥川竜之介
特質を有しているからである。このゆえに自分はひとり天主閣にとどまらず松江の市内に散在する多くの神社と梵刹《ぼんさつ》とを愛するとともに(ことに月照寺における松平....
」より 著者:芥川竜之介
聞えた。時としては、海から聞えた。そうしてまた更に時としては、その山と海との間に散在する、苫屋《とまや》の屋根の上からさえ聞えた。そればかりではない。最後には汐....
素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
して、のそのそ砂の上を歩き出した。 その間にほかの若者たちは、河原《かわら》に散在する巌石《がんせき》を持上げ合う遊戯《ゆうぎ》を始めていた。岩は牛ほどの大き....
侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
は運動の方則のもとに、絶えず循環しているのである。そう云うことを考えると、天上に散在する無数の星にも多少の同情を禁じ得ない。いや、明滅する星の光は我我と同じ感情....
秋山図」より 著者:芥川竜之介
です。渓《たに》の水が委蛇《いい》と流れたところに、村落や小橋《しょうきょう》が散在している、――その上に起した主峯の腹には、ゆうゆうとした秋の雲が、蛤粉《ごふ....
水害雑録」より 著者:伊藤左千夫
いる。暗い水の上を伝わって、長く尻声を引く。聞く耳のせいか溜らなく厭な声だ。稀に散在して見える三つ四つの燈火がほとんど水にひッついて、水平線の上に浮いてるかのご....
生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
目には、この生物はかえって死物のように思いなされる。ましてや平原のところどころに散在する百姓家などは、山が人に与える生命の感じにくらべれば、惨めな幾個かの無機物....
惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
ある。 例えばここに或る田園がある。その中には田疇と、山林と、道路と、家屋とが散在して、人々は各※その或る部分を私有し、田園の整理と平安とに勤んでいる。他人の....
端午節」より 著者:井上紅梅
来の考慮すべき事はすなわちここにあるので……」 講堂の中には二十名余りの学生が散在していた。ある者はいかにもそうだ、というような顔付した。この話を好いと思った....
取舵」より 著者:泉鏡花
らで、船は急進直江津に向えり。 すわや海上の危機は逼ると覚しく、あなたこなたに散在したりし数十の漁船は、北るがごとく漕戻しつ。観音丸にちかづくものは櫓綱を弛め....
荒蕪地」より 著者:犬田卯
にしなければならぬことになって、そのため、この地方のような山間農村にいまなお多く散在して、不税のまま放置されている『荒蕪地』なるものを民間に払下げる案をたて、帝....
画室談義」より 著者:上村松園
いて、その間から母屋の中庭にかけては小禽たちの鳥舎、兎、鶏からさては狐小舎までが散在していて、私や松篁にとっては写生、勉強のよい対象になってくれ、また孫たちには....
欧米各国 政教日記」より 著者:井上円了
賢愚の程度を代表するものなり。 ギリシアにはおよそ百五十前後の僧坊ありて所々に散在す。その坊内にはあまたの僧侶ありて眠食す。外人の来たりて泊宿を請うものは、た....
南半球五万哩」より 著者:井上円了
どまれなりという。リオ港は湾の曲折多く、群巒連峰のこれを囲繞するあり、また小嶼の散在するあり。これに加うるに、草木の繁茂せると、山容の雅趣に富めるとは、世界万国....
戦争史大観」より 著者:石原莞爾
王の死に依り王位に就いた時は年二十九で、その領土は東プロイセンからライン河の間に散在し、人口二百五十万に過ぎなかった。当時墺(オーストリア)は千三百万、フランス....