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散漫
「散漫〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
散漫の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「路上」より 著者:芥川竜之介
短くなったりする彼等の影を、アスファルトの上に踏んで行った。そうしてややもすると
散漫になり勝ちな注意を、相手の話へ集中させるのに忙しかった。
「と云ったって、何....
「映画時代」より 著者:寺田寅彦
ものを参照すればわかるであろう。第四にはセットの道具立てがあまり多すぎて、印象を
散漫にしうるさくする場合が多い。たとえば「忠弥《ちゅうや》」の貧民窟《ひんみんく....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
になっている。お前の個性は分化拡張して、しかも稀薄な内容になって、中心から外部へ
散漫に流出してしまった。だからお前が、私を出し抜いて先き走りをするのも一面からい....
「或る精神異常者」より 著者:田中早苗
まっ正面に座席をひとつ取って、そこをたった一人で占領した。他人がまじると注意力が
散漫になるのをおそれて、わざとひとりじめにしたのである。 もっともきわどい曲乗....
「春昼」より 著者:泉鏡花
来た蓄音器の如く、かつ遥に響く。 それまでも、何かそれらしい音はしたが、極めて
散漫で、何の声とも纏まらない。村々の蔀、柱、戸障子、勝手道具などが、日永に退屈し....
「映画雑感(Ⅲ)」より 著者:寺田寅彦
一 にんじん 「にんじん」は忙しい時にちょっと一ぺん見ただけで印象の記憶も
散漫であるが、とにかく近ごろ見たうちではやはり相当おもしろい映画の一つであると思....
「愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
は私の恋愛を批判して、恋愛の内より道を開いて出たいと思う。私は何よりも私の認識が
散漫にして雑駁なのに危惧の念に打たれる。このたびの経験より考うればどれほど誤謬多....
「橋」より 著者:池谷信三郎
の指を借りて、ありったけの所有のダイヤを光らせていた。若い会社員は妻の購買意識を
散漫にするために、いろいろと食物の話を持ちだしていた。母親は、まるでお聟さんでも....
「踊る地平線」より 著者:谷譲次
ふらんす語を話すのである。 『番号は三十六です、マダム。』 私は給仕長のように
散漫な好色を隠して言った。 すると、罩もった空気を衝いて彼女の金属性の微風が掠....
「家庭愛増進術」より 著者:岡本かの子
見えます。(それゆえ却ってこの信念を樹立し合わなかった昔はお互いに或る部分が少し
散漫な所もありました) さて、わたくし達は「夫婦」だなどと云われるとびっくりな....
「六月」より 著者:相馬泰三
でもしているように走り動いていた。せかせかする気忙しいような日であった。人の心も
散漫と乱れて、落ちつかなかった。曽根は警察の留置所でくわれた南京虫のあとが、赤く....
「回想録」より 著者:高村光太郎
さにある。肉の「こなし」方、それが良ければ彫刻は良くなってゆく。それが悪いのは、
散漫になったり痩せたりして、つまり真の彫刻性がなくなって了う。こんな風な簡単な仕....
「白峰の麓」より 著者:大下藤次郎
が停まっていてはあまりよく見えない。仕切りのあるのは、見取枠から見たように、図の
散漫を防ぐ。速かに走るために、いつも主要ものばかり目に入って、細かいうるさい物は....
「エリザベスとエセックス」より 著者:片岡鉄兵
だしてしまうのだった。 女王はあい変わらず日ごとの政務を見るのだけれど、注意は
散漫になり、物事を忘れやすくなっていた。側近にあって彼女を見守っている者には、ま....
「早稲田神楽坂」より 著者:加能作次郎
が、近頃は又一段と繁昌しているようだ。田原屋の小じんまりとしているに反して、やや
散漫の感じがないではないが、それだけ気楽は気楽だ。 この外牛込会館下のグランド....