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「数知れない〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

数知れないの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
城のある町にて」より 著者:梶井基次郎
を一枚繰った。 城の本丸に電燈が輝いていた。雨に光沢を得た樹の葉がその灯の下で数知れない魚鱗《ぎょりん》のような光を放っていた。 また夕立が来た。彼は閾《し....
道標」より 著者:宮本百合子
見えた。「質屋」の電気看板。「ベッズ」と看板を出している木賃宿。その明暗のなかに数知れない男女の失業者と宿なしとを包んで、ゆれているホワイト・チャペルの大通りの....
禰宜様宮田」より 著者:宮本百合子
いまわる小虫等も、また春から秋にかけて、積った落葉の柔かく湿った懐から生れ出す、数知れない色と形の「きのこ」も差し交した枝々に守られて各自の生きられるだけの命を....
ドグラ・マグラ」より 著者:夢野久作
何度の大寒地獄じゃ。それに引換え表の通りは。光り輝やく玄関構えに。並ぶ自動車その数知れない。しかも富豪や名士の家庭の。秘密握っているのが強味じゃ。強請次第にお金....
旅愁」より 著者:横光利一
たらしかった。 「それはもう、これを云い出せばきりがない。筆だけでも幾千種あるか数知れないからな。僕は自分の好きなものを作らせるのだ。」と東野は云ってもう黙った....
お女郎蜘蛛」より 著者:宮本百合子
ぐわしい香りをもって居た。 美くしくなりながら女は年をとって行った。 長い間数知れないほどの男を気ままにもちあつかって居たけれども女はまだ処女であった、処女....
世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
スに打ち当てながら悲しく叫びます。野狐も闇のなかに遠く啼いています。そのほかにも数知れない無気味な音がこの沈黙のうちに響いて来ました。最後にセラピオン師の鶴嘴が....
神棚」より 著者:豊島与志雄
、異様な物音がした。もうっと埃の舞い立つ中に、きらきらした光が四方へ乱れ飛んだ。数知れない五十銭銀貨が落ち散っていた。 俺は息をつめて立ち竦んだ。母の顔が眼の....
家なき子」より 著者:楠山正雄
ともあった。なわ張りの外に見物はぞろぞろ集まっている。わたしはこわごわ見回すと、数知れないひとみの光がわたしたちの上に集まっていた。 一番の芸当が終わると、カ....
女坑主」より 著者:夢野久作
惜しい気がするわ」 新張家の豪華を極めた応接室の中央と四隅のシャンデリアには、数知れない切子球に屈折された、蒼白な電光が煌々と輝き満ちている。その中央の大卓子....
田舎医師の子」より 著者:相馬泰三
事が好きで、それが舎監に知れやしないかとどんなに心配していたかという事や、そんな数知れない多くの事を語った。語り終った後になって、彼女は、「それにしても、あんま....
地上」より 著者:島田清次郎
ない。しかし純な少女の心と肉が今の様な状態に魂も肉体も変えるまでには無意識の裡に数知れない苦痛と悩みを忍耐して来たに相違はない。各人の素質には賢さや愚さの相違は....
なよたけ」より 著者:加藤道夫
とって、あたし、今までちっとも考えたことないの。だけど、きっとそうだわ。……あの数知れないたくさんの星と一緒にあたし達の星も、この広々とした大空の中をあてどもな....
欧米料理と日本」より 著者:北大路魯山人
も作る原動力として生きるからである。 日本料理の場合は、あり難いもので、材料は数知れないまでに豊富、その美味はいわゆる山海に満ちている。どう工夫しなくても、ま....
大岡越前」より 著者:吉川英治
下町は火の海、山の手も、青山、赤坂、麻布と焼け、芝浦まで焼け抜けた。家屋の倒潰は数知れないし、津波もあり、火死、水死、圧死など、この時の死傷は三万七千余人といわ....