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数知れぬ
「数知れぬ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
数知れぬの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「富士」より 著者:岡本かの子
門裔がこの麓の地に蔓《はびこ》ったその宗家の娘であった。祖先の水無瀬女から何代か
数知れぬ継承の間に、宗家は衰え派出した分家、また分家の方が栄えた。どういうわけで....
「幽霊塔」より 著者:黒岩涙香
場連斎と共に、濠洲へ出奔したらしいとの事、兎に角養蟲園はガラ空で、彼の幾百千とも
数知れぬ蜘蛛が巣を張るのみである。狐猿は今千艸屋に飼われて居る、浦原お浦は米国へ....
「茶の本」より 著者:岡倉覚三
ってゆく若い奔流は、つぼみの花に向かって笑った。たちまち聞こえるのは夢のごとき、
数知れぬ夏の虫の声、雨のばらばらと和らかに落ちる音、悲しげな郭公の声。聞け! 虎....
「出家とその弟子」より 著者:倉田百三
大事がありでもしたら、当流はまるで暗やみのごとくになりましょう。 僧二 我々初め
数知れぬお弟子衆は善知識を失うて、途方に暮れる事でございましょう。 僧三 頼りに....
「火星探険」より 著者:海野十三
。 ああ、危機来る! こっちは僅か十人足らずの地球人類だ。相手は何万何十万と
数知れぬ火星人の大集団だ。しかもこっちの者にとっては、勝手のちがう異境火星の上だ....
「死者の書」より 著者:折口信夫
るが、又どんなことで、他流の氏姫が、後を襲うことにならぬとも限らぬ。大伴・佐伯の
数知れぬ家々・人々が、外の大伴へ、頭をさげるようになってはならぬ。こう考えて来た....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
つぎの森の静粛を破って以来、絶えず両人の身の辺に飛交う、花の色と等しい、小さな、
数知れぬ蝶々で。 お雪は双の袂の真中を絞って持ち、留まれば美しい眉を顰める少年....
「道成寺(一幕劇)」より 著者:郡虎彦
いうものの今夜という今夜こそ、あのように乱れた心の中は蛇の巣でもあばいたように、
数知れぬむごたらしい恐れがうごめいて、どんな思いをさせていようも知れぬことだ。 ....
「墓」より 著者:秋田滋
のです。その眼はもう決して何んにも見ない、その口はもう決して物を云わないのです。
数知れぬ人間の口から出る声のなかには同じような声音はあるとしても、そのひとの口は....
「なよたけ」より 著者:加藤道夫
たの。……ねえ、文麻呂、あたし達はきっと小さな星なんだわ。あの空に一杯輝いている
数知れぬ星と同じような……そうよ! あたし達はきっと小さな星なんだわ。 文麻呂 ....
「親ごころ」より 著者:秋田滋
口へ行って、終日そこに佇んでいた。そして、出たり這入ったりする人を眺めては、その
数知れぬ顔のうえに、遠い昔のなつかしい面差を探しているのだった。これこそ自分の息....
「暗黒星」より 著者:黒岩涙香
の人種と同じ様に一種|畏怖の意味を持った宗教心が起こって来た。かかる宗教心は最早
数知れぬ長い時代の間、全く人心に忘れられていたのだ。 今の世の人心はただ精力を信....
「女の決闘」より 著者:オイレンベルクヘルベルト
の側で、セコンドのように打っていて、時を過ごして来たものでございます。それが今は
数知れぬ弾丸に打ち抜かれています。こんなになった心の臓を、どうして元の場所へ持っ....
「仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
と勇気が凜々と五体に漲り弾ける思いがするのでした。 木下藤吉郎の昔から秀吉は、
数知れぬ難攻不落の城々を攻めた経験の持主であります。しかし、どんな城砦でも秀吉が....
「恐怖の幻兵団員」より 著者:大倉燁子
まったので、いまはどう見ても真面目な貴婦人になっているが、彼女がそうなるまでには
数知れぬ苦労を重ねてきたことだろう。私は一雄が行方不明になったという裏面には必ず....