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「敷布〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

敷布の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
城のある町にて」より 著者:梶井基次郎
が見えるぜ」と言いながら弟をだました。両手にかこまれて、顔で蓋《ふた》をされた、敷布の上の暗黒のなかに、そう言えばたくさんの牛や馬の姿が想像されるのだった。――....
人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
つくしい顔がのぞいた。今も今とて噂したマヌエラ嬢だった。彼女は、真白な洗いたての敷布のようにどこからどこまで清潔な感じのする娘だ。座間とは婚約の仲、また人道愛の....
世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
の男のからだに触れることが出来るのである。その男というのは、顔を仰向けて、半身を敷布におおわれて、両腕をからだのそばに伸ばして、テーブルの上に横たわっていた。彼....
沼夫人」より 著者:泉鏡花
があるんですもの。」 「婦女子の言です。」 と医師は横を向く。小松原は、片手を敷布の上、隣室へ摺寄る身構えで、 「水に縁と……仰有ると?」 「あれは貴下、何で....
落ちてゆく世界」より 著者:久坂葉子
酔してしまっているモツァルトのものをかけ出しました。ニ長調のロンドです。兄は白い敷布の上に長く寐て目をつむりながらきいております。 「ねえ、信二郎さんがジャズバ....
世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
とも思いました。またある時は、あの白い掩いの下で彼女が足を動かして、波打った長い敷布のひだを幽かに崩したようにさえ思われました。 わたしは自分自身に訊いたので....
若草物語」より 著者:オルコットルイーザ・メイ
だに、四人の少女たちは、あたらしい計画について話し合い、それからマーチおばさんの敷布をつくるために、四つの小さな仕事かごがもちだされ、せっせと針をはこぶのでした....
白雪姫」より 著者:菊池寛
こしあいだをおいて、じゅんじゅんにならんで、その上には、みんな雪のように白い麻の敷布がしいてありました。 白雪姫は、たいへんおなかがすいて、おまけにのどもかわ....
世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
それから船長の注意にしたがって、読書に使う手燭を上の寝台のなかに置いたので、白い敷布ははっきりと照らし出されていた。船長は自分が扉の前に坐ったからにはもう大丈夫....
方子と末起」より 著者:小栗虫太郎
末起ちゃん、お手紙有難う。 ほんとうにお姉さまは、末起ちゃんのために二年越しの敷布のうえがすこしも淋しくはありません。 行くんですってね……? まい日末起ち....
地虫」より 著者:小栗虫太郎
が心臓深めに突き刺されていて、そこから、真紅の泉が滾々と湧き出してゆくのだった。敷布の先を伝わって、雨滴れの合間を縫って……そうしてその時も、地蟲の嗄れたような....
奇巌城」より 著者:菊池寛
りに飛び散っている白紙にはそこここに血潮が垂れていた。医者は死体にかぶせてあった敷布をとり除けた。家令のドバルは平素着ているビロードの服を着、長靴を履いたまま、....
深川女房」より 著者:小栗風葉
、お誂えの蝋石の玉がメリンスの蓐に飾られてある。更紗の掻巻を撥ねて、毛布をかけた敷布団の上に胡座を掻いたのは主の新造で、年は三十前後、キリリとした目鼻立ちの、ど....
淡島椿岳」より 著者:内田魯庵
物に泥絵具でやたら縞を描いたのを着ていた。晩年には益々|昂じて舶来の織出し模様の敷布を買って来て、中央に穴を明けてスッポリ被り、左右の腕に垂れた個処を袖形に裁っ....
勝ずば」より 著者:岡本かの子
心した後の気の緩みで堪え性もなく泣き出したので、寛三はそれを叱って政枝の着換えと敷布を階下に取りにやった。 着物を父親に着換えさせられてからも政枝は軽く眼を閉....