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文無し
「文無し〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
文無しの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「後世への最大遺物」より 著者:内村鑑三
た生徒のなかに、非常にこの天才を持っているものがある。ある奴《やつ》は北海道に一
文無しで追い払われたところが、今は私に十倍もする富を持っている。「今におれが貧乏....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
かこうにか繋いで居りますと、長作はけさ早くに何処からかぼんやり帰って来まして、一
文無しで困るから幾らか貸してくれと云います。貸すどころか、こっちが借りたいくらい....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
あならねえ。直七と鶴吉の話によると、その伝蔵という奴は秩父の生まれだそうだが、一
文無しで故郷へ帰ることも出来めえ。といって、江戸にいるのもあぶねえと云うので、ど....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
の寺で押さえられる。これも何かの因縁でしょう。 牢ぬけをしたばかりで、みんな一
文無しですから、ただ遊んでもいられないのでしょうが、藤吉は四月末から五月にかけて....
「骨董」より 著者:幸田露伴
訳だ。 が、それはそれでよいとして、年寄でもなく、二才でもなく、金持でもなく、
文無しでもない、いわゆる中年中産階級の者でも骨董を好かぬとは限らない。こういう連....
「砂糖泥棒」より 著者:黒島伝治
」 「今日で丁度、ヒイがあくんよの。」 「ふむ。」 「嚊の産にゃ銭が要るし、今一
文無しで仕事にはぐれたら、俺ら、困るんじゃ。それに正月は来よるし、……ひとつお前....
「イワンの馬鹿」より 著者:菊池寛
る。」 「わけはありません。」 と小悪魔は言いました。 「まず第一にあいつ等を一
文無しにしてしまいます。そして一片のパンも無くなった時分にみんなをおち合わせるこ....
「杜子春」より 著者:芥川竜之介
さえ、挨拶一つして行きません。ましてとうとう三年目の春、又杜子春が以前の通り、一
文無しになって見ると、広い洛陽の都の中にも、彼に宿を貸そうという家は、一軒もなく....
「貞操問答」より 著者:菊池寛
だし、……」新子は、意地の悪い皮肉な顔をした。 「お姉様のひどい人、……いいわ、
文無しだって、どうにかなるわよ。」と、ぷーんとして、くるりと後を向いてスタスタ行....
「天草四郎の妖術」より 著者:国枝史郎
徐々金を投げても宜かろう。容易に見られぬ芸当じゃ。何をニヤニヤ笑っているのだ。一
文無しの空尻かな。只匁で見るつもりかな。そいつは何うも謝るの。……それとも芸当が....
「この握りめし」より 著者:岸田国士
えられた。法律は正しいものを守るために存在するとすれば、信濃屋主人和島佐五郎と、
文無し画家岡本弘とを比べてみて、直ちに、岡本に非ありとは断じかねるのではないか。....
「勧善懲悪」より 著者:織田作之助
って来なかった。 三 船場新聞を廃刊してしまうと、お前はすっかり
文無しで、たちまち暮しに困った。どうするかと見ていると、お千鶴は家で手内職、お前....
「備前天一坊」より 著者:江見水蔭
事じゃで」 「いや本気で仰有るとなら、実に近頃お見上げ申した御方様で。どうもこの
文無しで宿を取る人間に限って、大きな顔をして威張り散らして、散々大尽風をお吹かせ....
「雪の夜」より 著者:織田作之助
て行き、アパートの入口でお帰りと言われて、すごすご帰る道すうどんをたべ、殆んど一
文無しになって、下味原の家まで歩いて帰った。二人の雇人は薄暗い電燈の下で、浮かぬ....
「赤げっと 支那あちこち」より 著者:国枝史郎
あいつら、あらゆる悪口を私達に投げつけているのですよ、ケチンボだの、好色漢だの、
文無しだの、豚に食われて了えだの、死んだって極楽へは行けないだろうなどとそんな悪....