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斜視
「斜視〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
斜視の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「鶴は病みき」より 著者:岡本かの子
った。眼が薄ぐもりの河の底のように光り、口辺に皮肉な微笑が浮んだ。やがて氏は眼を
斜視にして藤棚の一方を見詰めて居たが突然立ち上り手を延ばして藤の葉を二三枚むしり....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
負っとる事ですよ。背からおろしといたばかしで、女もなくなっただァ」と云いかけて、
斜視の眼から涙をこぼして、さめ/″\泣き入るが癖である。また誰に向っても、「萩原....
「梅津只円翁伝」より 著者:杉山萠円
たように鷲型で、白い眉が房々として、高い小鼻の左右に眼窩が深く落凹んで、心持ち内
斜視の老眼が鋭く光っていた。口は大きく一文字に閉じて、凹んだ両眼と、巨大な顎と共....
「石ころ路」より 著者:田畑修一郎
は三十を越しているというが、二十三四にしか見えない。そしてひょろ長い。眼はひどい
斜視だが、いつも上瞼が垂れているのでどこを見ているのかわからない上に、まるで人を....
「溺るるもの」より 著者:豊島与志雄
彼女がいた。 燐光……そんな風に私は彼女を感じた。 彼女は眼が悪かった。軽い
斜視で、その上視力が鈍っていた。十六七の時に急に悪くなったのだという。兄は盲目だ....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
型、背の低い頭の禿《は》げた無格好な身体、すっきりしない鼻、大きな眼鏡の後ろから
斜視《やぶにらみ》する大きな眼、荒いまっ黒なもじゃもじゃした髯《ひげ》に埋まって....
「死刑囚最後の日」より 著者:豊島与志雄
で、しわがより、背がかがみ、髪は白くなりかかり、ずんぐりした手足をし、灰色の目に
斜視の目つきをし、顔に苦笑をうかべ、不潔で、ぼろをまとい、なかば裸体で、見るもい....
「白蛾」より 著者:豊島与志雄
不思議そうに彼女は彼を見つめました。その、持ちあがって細まる左の眼は、少しく
斜視で、それを中心に、顔全体にさっと冷酷とも言える色が流れました。とたんに、彼女....
「怪しの館」より 著者:国枝史郎
その目が一所を見詰めている。で黒目が二つながら、目頭の方へ寄っている。で、一種の
斜視に見える。
斜視には
斜視としての美しさがある。いや
斜視そのものは美しいものだ。....
「四月馬鹿」より 著者:織田作之助
立つ。濡雑巾が戎橋の上を歩いている感じだ。 しかし、うらぶれた感じはない。少し
斜視がかった眼はぎょろりとして、すれちがう人をちらと見る視線は鋭い。朝っぱらから....
「武田麟太郎追悼」より 著者:織田作之助
武田さんのことを考えていた。特徴のある武田さんの笑い声を耳の奥で聴いていた、少し
斜視がかったぎょろりとした武田さんの眼を、胸に泛べていた。 最も残念だったのは....
「子をつれて」より 著者:葛西善蔵
手を振り腰を振りして、尖がった狐のような顔を白く塗り立てたその踊り子は、時々変な
斜視のような眼附きを見せて、扉と飲台との狭い間で踊った。 幾本目かの銚子を空に....
「夜の構図」より 著者:織田作之助
ある。 娘は中筋伊都子という。十九歳だが、雀斑が多いので二十二歳に見える。少し
斜視がかって、腋臭がある。 一時間前までは、信吉と伊都子は赤の他人であった。伊....
「秋深き」より 著者:織田作之助
くと、女の眼はなおもじっと動かなかった。もう一方の眼はあらぬ方に向けられていた。
斜視だなと思った。とすれば、ひょっとすると、女の眼は案外私を見ていないのかもしれ....
「むかでの跫音」より 著者:大倉燁子
照らし、御光がさしているのです。女は男より大分|年長で、醜い器量の、しかもひどい
斜視なんですが、その眼がまた迚も色っぽく、身のこなしもどこやら仇めいて、垢ぬけが....