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「新樹〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

新樹の前後の文節・文章を表示しています。該当する10件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
」より 著者:岡本かの子
くっても、どこかその辺の空地で休んで行きましょうよ」 湊は今更のように漲り亘る新樹の季節を見廻し、ふうっと息を空に吹いて 「それも、いいな」 表通りを曲ると....
神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
な欠伸をした。それから鼻唄をうたい出した。鼻唄と云っても漢詩である。 春去夏来新樹辺、緑陰深処此留連、尋常性癖耽 その時一人の旅人が――武者修行風の若い武士....
仮装人物」より 著者:徳田秋声
含羞んだふうで硬くなっている青年園田を見たとき、その俊秀な風貌と、すくすくした新樹のような若さに打たれながら、庸三の六感に何か仄かな予感の影の差して来るのを感....
」より 著者:徳田秋声
山の円ッこい背が見られた。 「京の舞妓だけは一見しておきたまえ。」友はそれから、新樹の蔭に一片二片ずつ残った桜の散るのを眺めながら、言いかけたが、笹村の余裕のな....
明治美人伝」より 著者:長谷川時雨
そう。上流では北白川宮大妃富子殿下、故|有栖川宮《ありすがわのみや》妃慰子殿下、新樹《しんじゅ》の局《つぼね》、高倉典侍、現岩倉侯爵の祖母君、故|西郷従道《さい....
一枚絵の女」より 著者:国枝史郎
ったものだった。 豊国が今度描くという。 どうしても俺が買ってやらなければ。新樹、つり忍、羽蟻、菖蒲湯、そういった時令が俳句に詠み込まれる、立夏に近い頃だっ....
前記天満焼」より 著者:国枝史郎
らもしたのだろう。 宏大な屋敷が立っていて、厳重に土塀で鎧われていて、塀越しに新樹の葉が見える。 空気に藤の花の匂いがあるのは、邸内に藤棚があるのだろう。屋....
日和下駄」より 著者:永井荷風
道すがら、行手《ゆくて》に望む牛込小石川の高台かけて、緑《みどり》滴《したた》る新樹の梢《こずえ》に、ゆらゆらと初夏《しょか》の雲凉し気《げ》に動く空を見る時、....
向嶋」より 著者:永井荷風
ハ桜花ニ非ズシテ実ニ緑陰幽草ノ侯ニアルヲ。モシソレ薫風南ヨリ来ツテ水波紋ヲ生ジ、新樹空ニ連ツテ風露香ヲ送ル。渡頭《ととう》人稀ニ白鷺|雙々《そうそう》、舟ヲ掠《....
つゆのあとさき」より 著者:永井荷風
これは植木屋かとも思われて、摺鉢《すりばち》を伏せた栗の門柱に引違いの戸を建て、新樹の茂りに家の屋根も外からは見えない奥深い一構《ひとかまえ》がある。清岡|寓《....