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旅人宿
「旅人宿〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
旅人宿の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
香の漂った濁った小さな運河を渡って、ある狭いきたない町の中ほどにある一軒の小さな
旅人宿にはいって行った。横浜という所には似もつかぬような古風な外構《そとがま》え....
「本州横断 癇癪徒歩旅行」より 著者:押川春浪
べく食物《しょくもつ》を残しておけと、折りから通り掛かった路傍《みちばた》に、「
旅人宿《りょじんやど》」と怪し気な行灯《あんどん》のブラ下がった家があるので、吾....
「忘れえぬ人々」より 著者:国木田独歩
多摩川の二子の渡しをわたって少しばかり行くと溝口という宿場がある。その中ほどに亀屋という
旅人宿がある。ちょうど三月の初めのころであった、この日は大空かき曇り北風強く吹い....
「西洋人情話 英国孝子ジョージスミス之伝」より 著者:三遊亭円朝
しゆえ、是まで種々の商法を営みしも、慣れぬ事とて皆な仕損じ、七年|前に佐久間町へ
旅人宿を開きし折、これ重二郎殿、君の親御助右衞門殿が尋ね来て、用心のため預けられ....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
一つ馬籠へ手紙を出して、仕訳帳を至急取り寄せなけりゃならない。」 多くの江戸の
旅人宿と同じように、十一屋にも風呂場は設けてない。半蔵らは町の銭湯へ汗になったか....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
はなかった。そこでは彼の懇意にした隠居も亡くなったあとで、年のちがったかみさんは
旅人宿を畳み、浅草の方に甲子飯の小料理屋を出しているとのことである。足のついでに....
「蒲団」より 著者:田山花袋
想像したような一箇秀麗な丈夫でもなく天才肌の人とも見えなかった。麹町三番町通の安
旅人宿、三方壁でしきられた暑い室に初めて相対した時、先ずかれの身に迫ったのは、基....
「足袋」より 著者:島崎藤村
「比佐さんも好いけれど、アスが太過ぎる……」 仙台|名影町の吉田屋という
旅人宿兼下宿の奥二階で、そこからある学校へ通っている年の若い教師の客をつかまえて....
「不尽の高根」より 著者:小島烏水
沢に、お助け小舎を置いたそうだが、それは疾くにつぶれて、今のは粗末ながら、普通の
旅人宿めいた小舎である。しかし元来、御中道めぐりは、信神の道者を主とするので、近....
「松の操美人の生埋」より 著者:三遊亭円朝
て居る。 武「さア何うだ、拙者を賊に落して申訳があるか、もう許さんぞ、併し此所は
旅人宿で、当家には相客もあって迷惑になろうから、此の近辺の田甫に参って成敗致そう....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
のは、ちょうど今ごろ、冬近い日のそぼそぼ暮れであった。
外宮《げくう》の森。
旅人宿の軒行燈に白い手が灯を入れれば……訛《なま》りにも趣《おもむき》ある客引き....
「置土産」より 著者:国木田独歩
はお前も知っているはずと説かれてお絹は何と答えしぞ。その夜七時ごろ町なる某という
旅人宿の若者三角餅の茶店に来たり、今日これこれの客人見えて幸衛門さんに今からすぐ....
「私の小売商道」より 著者:相馬愛蔵
れに反して、関西地方ことに大阪商人の見識の高いことは素晴しいものである。第一流の
旅人宿や料理店では紹介がなければ客を通さないということである。これは大阪は商人が....
「怪異黒姫おろし」より 著者:江見水蔭
鬼小島弥太郎に見顕されて殺されたという。 父は岩五郎と呼び、関川の端れに怪しき
旅人宿を営んでいたが、金の有る旅客を毒殺したとの疑いで高田城下へ引立てられ、入獄....
「備前天一坊」より 著者:江見水蔭
数多召抱えて、夕に源氏の公を迎え、旦に平氏の殿を送られたものじゃが、今ではただの
旅人宿。出て来る給仕の女とても、山猿がただ衣服を着用したばかりでのう」と説明の委....