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旅先
「旅先〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
旅先の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
う》がととのえられていた。葉子が倉地と遠出らしい事をしたのはこれが始めてなので、
旅先にいるような気分が妙に二人を親しみ合わせた。ましてや座敷に続く芝生《しばふ》....
「老妓抄」より 著者:岡本かの子
離れるとなると寂しくなる。それ故に、自然と探し出して貰いたい底心の上に、判り易い
旅先を選んで脱走の形式を採っている自分の現状がおかしかった。 みち子との関係も....
「鳥辺山心中」より 著者:岡本綺堂
来て、同じ宿に滞在しているのであった。 こうして同じ京の土を踏みながらも、兄は
旅先という暢気《のんき》な気分で遊び暮らしていた。弟は主君のお供という料簡《りょ....
「三人の双生児」より 著者:海野十三
いた身内というのは妾一人だった。しかも生れ故郷を離れて、妾たちは放浪していたその
旅先だった。 前に妾が述べたように、妹とカンカン競べをやったのが最後となって、....
「蠅男」より 著者:海野十三
た。別に彼は、この朝の臭気を嗅いで、それを事件と直覚したわけでもなく、またこんな
旅先で彼の仕事とも関係のないことを細かくほじくる気もなかった。けれど、彼の全身に....
「母子叙情」より 著者:岡本かの子
。彼を見ると全く芸術家はテンペラメント一つだという気がします」 かの女はこれを
旅先の知友が、滞在地で世話をする父兄に向って云うお世辞ともお礼心とも思わなかった....
「河明り」より 著者:岡本かの子
の経過を述べるとこうである。 私は遮二無二|新嘉坡から一人で内地へ帰って来た。
旅先きでの簡単な結婚式にもせよ、それを済ましたあとの娘を、直ぐに木下に托するのが....
「青蛙堂鬼談」より 著者:岡本綺堂
どういうことで離縁になったのか、そこまでは平助も押して訊くわけにはいかなかった。
旅先のことであるから、家来どもは主人のなきがらを火葬にして、遺骨を国許へ持ち帰る....
「火星探険」より 著者:海野十三
か。グルトンの村にいれば、知っている人もあるから、働かせてくれるだろうが、こんな
旅先で、知らない人ばかりのところで、誰が働かせてくれるものか」 河合は悲観説を....
「恨みの蠑螺」より 著者:岡本綺堂
へ一緒に連れて行って、あの絵を戻せと言い張るので、四郎兵衛もほとほと持て余した。
旅先で十分の用意もないから、せめてこれを小遣いにしろといって、彼は五両の金を差出....
「女侠伝」より 著者:岡本綺堂
かず、奉公人ともつかずに連れ歩いている崔英という十五、六歳の少女は、五、六年前に
旅先で拾って来たのだそうで、なんでも李が旅興行をして歩いているうち、その頃は今ほ....
「母と娘」より 著者:岡本かの子
字も乱れていた。 六月十日(ロンドンより) アグネス! ママは先ず第一にあなたの
旅先からの手紙をどんなに重大に読み続けて居るかを言わねばなりません。始めて自分の....
「沼畔小話集」より 著者:犬田卯
者 彼女は呉服ものの行商を営んでいた。家にいることはめったになかった。一週間も
旅先から帰らなかった。稀にかえって来ると、彼女は屋敷の殆んど半ばを占める野菜畑へ....
「金山揷話」より 著者:大鹿卓
「これはなかなか独特の野趣がある。おもしろいじゃないか」 私達はそんなことにも
旅先らしい興趣をおぼえながら、長途のうさを払おうとしていた。すると私達の車室へ、....
「仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
違いない」と言うのであります。譬えて言えば、無理算段をして温泉逗留に出たものが、
旅先で旅費を使い果せば、やがてほうほうの態でまた元の住みにくい我が家へ戻って来る....