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旅客
「旅客〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
旅客の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
まうと、ようやく眠気《ねむけ》がきざして来た。――お蓮はいつか大勢《おおぜい》の
旅客と、薄暗い船室に乗り合っている。円い窓から外を見ると、黒い波の重《かさ》なっ....
「松江印象記」より 著者:芥川竜之介
が後進たる小都市の特権である。東京市民が現に腐心しつつあるものは、しばしば外国の
旅客に嗤笑《ししょう》せらるる小人《ピグミイ》の銅像を建設することでもない。ペン....
「西郷隆盛」より 著者:芥川竜之介
を硝子窓の外へやりながら、妙にちょいと顔をしかめた。その眼の前を横ぎって、数人の
旅客の佇《たたず》んでいる停車場が、くら暗と雨との中をうす明く飛びすぎる。本間さ....
「或る女」より 著者:有島武郎
、あなたは私を見殺しにするんですか……見殺しにするん……」
一〇
始めての
旅客も物慣れた
旅客も、抜錨《ばつびょう》したばかりの船の甲板に立っては、落ち付い....
「星座」より 著者:有島武郎
の中央部にあるまん丸な鋳鉄製のストーブは真赤に熱して、そのまわりには遠くから来た
旅客がいぎたなく寝そべっていた。八時に札幌を発《た》った列車は、雪さえ黒く見える....
「義血侠血」より 著者:泉鏡花
》まで、四里八町が間を定時発の乗り合い馬車あり。 賃銭の廉《やす》きがゆえに、
旅客はおおかた人力車を捨ててこれに便《たよ》りぬ。車夫はその不景気を馬車会社に怨....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
は別であるが、一|人外国の客と、流暢に独逸語を交えて、自在に談話しつつある青年の
旅客があった。 こなたの卓子に、我が同胞のしかく巧みに外国語を操るのを、嬉しそ....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
結局それを尊重|愛撫しないでいられようか。涙にまで私は自身を痛感する。 一人の
旅客が永劫の道を行く。彼を彼自身のように知っているものは何処にもいない。陽の照る....
「最終戦争論」より 著者:石原莞爾
将来を推しはかるべきでないことを深く考えなければなりません。 今年はアメリカの
旅客機が亜成層圏を飛ぶというのであります。成層圏の征服も間もなく実現することと信....
「新日本の進路」より 著者:石原莞爾
き集團生活にとり、最も重要なる施設は住宅である。私は現在のところ、村人の數だけの
旅客を常に宿泊せしめ得る、完備した近代的ホテルのごとき共同建築物が住宅として理想....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
灯ちらちらと目の下に、遠近の樹立の骨ばかりなのを視めながら、桑名の停車場へ下りた
旅客がある。 月の影には相応しい、真黒な外套の、痩せた身体にちと広過ぎるを緩く....
「革鞄の怪」より 著者:泉鏡花
の大革鞄を、下にも置かず、やっぱり色の褪せた鼠の半外套の袖に引着けた、その一人の
旅客を認めたのである。 私は熟と視て、――長野泊りで、明日は木曾へ廻ろうと思う....
「灯明之巻」より 著者:泉鏡花
それでもこれだけ分入るのさえ、樹の枝にも、卒都婆にも、苔の露は深かった。……
旅客の指の尖は草の汁に青く染まっている。雑樹の影が沁むのかも知れない。 蝙蝠が....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
と巻いて斜に背負い、竹の杖を両手に二本突いて、頤を突出して気ばかり前へ立つ、婆の
旅客が通った。七十にもなって、跣足で西京の本願寺へ詣でるのが、この辺りの信者に多....
「雪霊記事」より 著者:泉鏡花
ません、私の故郷からはそれから七里さきの、丸岡の建場に俥が休んだ時立合せた上下の
旅客の口々から、もうお米さんの風説を聞きました。 知事の妾となって、家を出たの....