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日暮れ
「日暮れ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
日暮れの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「十円札」より 著者:芥川竜之介
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翌日《よくじつ》の日曜日の
日暮れである。保吉は下宿の古籐椅子《ふるとういす》の上に悠々と巻煙草へ火を移した....
「河童」より 著者:芥川竜之介
子どもの部屋《へや》に入れられたようにそれだけは不便に思いました。
僕はいつも
日暮れがたになると、この部屋にチャックやバッグを迎え、河童の言葉を習いました。い....
「水の三日」より 著者:芥川竜之介
漢訳の問題が出ればどこの学校の受験者だって落第するにきまっている。
通信部は、
日暮れ近くなって閉じた。あのいつもの銀行員が来て月謝を取扱う小さな窓のほうでも、....
「大川の水」より 著者:芥川竜之介
間にか融合した都会の水の色の暖かさは、容易に消えてしまうものではない。
ことに
日暮れ、川の上に立ちこめる水蒸気と、しだいに暗くなる夕空の薄明りとは、この大川の....
「隣の嫁」より 著者:伊藤左千夫
は今度の稲刈りの時ばかりでない。成東の祭りの時にも考えればおかしかった。この間の
日暮れなどもそうっと無花果を袂へ入れてくれた。そうそうこの前の稲刈りの時にもおれ....
「去年」より 著者:伊藤左千夫
寄った人の限りはあい見て嘆息するほかはなかった。 嫂は四十二であった。きのうの
日暮れまでも立ち働いておったそうである。夜の一時ごろにしかも軽く分娩して、赤子は....
「紅黄録」より 著者:伊藤左千夫
光さんはやはり気もみをしているのであった。 このごろの朝の潮干は八時過ぎからで
日暮れの出汐には赤貝の船が帰ってくる。予らは毎朝毎夕浜へ出かける。朝の潮干には蛤....
「くろがね天狗」より 著者:海野十三
、そう簡単に取りかえせるものではなかった。 「おお、人が斬りたい。……」 と、
日暮れになると、彼は高尾山中の岩窟からノッソリ姿を現わし、魘されでもしているかの....
「棺桶の花嫁」より 著者:海野十三
がいいわ」 「よし、とにかく買おう。じゃこれから浅草まで買いにゆこうよ」 もう
日暮れ時だった。 二人は吾妻橋を渡って、浅草公園の中に入っていった。仲見世はす....
「転機」より 著者:伊藤野枝
ど乾いてきた泥をふいて草履をはいた。二人はやっとそれで元気を取返して歩き出した。
日暮れ近い、この人里遠い道には、私達の後になり先になりして尾いてくる男が一人いる....
「菎蒻本」より 著者:泉鏡花
さて安からざりし年とかや。 三月の中の七日、珍しく朝凪ぎして、そのまま穏かに一
日暮れて……空はどんよりと曇ったが、底に雨気を持ったのさえ、頃日の埃には、もの和....
「醜い家鴨の子」より 著者:アンデルセンハンス・クリスチャン
暴風雨になって来て、子家鴨の力では、凌いで行けそうもない様子になりました。やがて
日暮れ方彼は見すぼらしい小屋の前に来ましたが、それは今にも倒れそうで、ただ、どっ....
「故郷」より 著者:井上紅梅
に来た者、品物を持出しに来た者、見送りと持出しを兼ねて来た者などがゴタゴタして、
日暮れになってわたしどもがようやく船に乗った時には、この老屋の中にあった大小の我....
「西航日録」より 著者:井上円了
港シンガポールに碇泊すれば、帆柱は連なって林のごとく立ち、いりえをみたしている。
日暮れて雷は雨をともない、天は洗われるかのようであった。やがて涼しげな月が高く赤....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
都、苦熱骨将蘇。 (呂宋第一の都会は、はなはだ熱く、骨も枯れ果てるかと思われた。
日暮れて涼風が起こり、六根(眼・耳・鼻・舌・身・意)はようやく生き返る思いがした....