日本髪[語句情報] »
日本髪
「日本髪〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
日本髪の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「星座」より 著者:有島武郎
の躊躇もなく手紙の封を切った。封筒の片隅を指先で小さくむしっておいて、結いたての
日本髪(ごくありきたりの髷だったが、何という名だか園は知らなかった)の根にさした....
「断崖の錯覚」より 著者:黒木舜平
た。 「いでゆ」には、少女がふたりいた。ひとりは、宿屋の女中あがりらしく、大きい
日本髪をゆい、赤くふくれた頬をしていた。私は、この女には、なんの興味も覚えなかっ....
「雌に就いて」より 著者:太宰治
と同じような意味で、君は、ずいぶん好色なところをねらっているのだよ。髪は?」 「
日本髪は、いやだ。油くさくて、もてあます。かたちも、たいへんグロテスクだ。」 「....
「彼は昔の彼ならず」より 著者:太宰治
くしの意図を嗅《か》いだ。果して、勝手口から、あの少女でもない、色のあさぐろい、
日本髪を結った痩《や》せがたの見知らぬ女のひとがこちらをこっそり覗《のぞ》いてい....
「ある崖上の感情」より 著者:梶井基次郎
た。しばらくそこを見ていると、そこが階段の上り口になっているらしい部屋の隅から、
日本髪に頭を結った女が飲みもののようなものを盆に載せながらあらわれて来た。すると....
「老妓抄」より 著者:岡本かの子
って、柚木は上体を起上らせつつ、足を胡座《あぐら》に組みながら 「ほほう、今日は
日本髪か」とじろじろ眺めた。 「知らない」といって、みち子はくるりと後向きになっ....
「夫婦善哉」より 著者:織田作之助
し、蓄音器《ちくおんき》は新内、端唄《はうた》など粋向きなのを掛け、女給はすべて
日本髪か地味なハイカラの娘《こ》ばかりで、下手《へた》に洋装した女や髪の縮《ちぢ....
「省線電車の射撃手」より 著者:海野十三
、倉内君の居られた車掌室があります。またその右の耳のある隣りには二尺ほど離れて、
日本髪の婦人が腰をかけて居りました。そんなことから思い合わせると、弾丸は僕の身体....
「幽霊妻」より 著者:大阪圭吉
様は御器量よしで、さすが下町育ちだけあって万事に日本趣味で、髪なぞもしょっちゅう
日本髪でお過しになりましたが、それがまたなんともいえない粋な中に気品があって、失....
「脳の中の麗人」より 著者:海野十三
と不快とに襲われたのです。そのとき頭の中に、別の一人の女の顔が現れました。それは
日本髪を結った白粉やけのした年増の女なんです。その女が、髷の根をがっくりと傾け、....
「めでたき風景」より 著者:小出楢重
慢とせる髪は重く、長く、硬直で黒く、房々とせるものである。したがって支那の弁髪や
日本髪を結ぶにもっとも適当であった。と同時に散髪し、オールバックにし、耳隠しとし....
「雪の夜」より 著者:小林多喜二
それに、……」女は頭を二、三度振ってみせて、「ね、ね」と言った。根元のきまらない
日本髪がそのたびに前や横にグラグラした。「お客さんがないと髪結賃もくれないの。こ....
「髷」より 著者:上村松園
うか? やはり、そこに日本美というものがすこしもない故であろうか。 当今では
日本髪はほとんど影をひそめてしまったと言っていい。 しかし伝統の
日本髪の歴史は....
「娘」より 著者:岡本かの子
洋化時代があった。上流の夫人令嬢は、洋髪洋装で舞蹈会に出た。庶民もこれに做った。
日本髪用の鼈甲を扱って来た室子の店は、このとき多大の影響を受けた。明治中期の末か....