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「日歩〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

日歩の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
富士」より 著者:岡本かの子
歓びにうたた反側しながら呟いた。 「山近し、山近し」 と。 あくる日は翁は一日歩いて、また一二尺掠り除かれた雲の裾から山の麓《ふもと》を、より確かに覗き取っ....
浮浪漫語」より 著者:辻潤
出来るが、――その他の物でなに一ツ自分の物らしいものは一ツだってありはしない。毎日歩いている地面も人のものであり、雨露を凌ぐ家も勿論、人の物、知識も借り物、衣物....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
これからどちらへ……」 「どこという的《あて》もないが、ともかくも江戸じゅうを毎日歩いて、一日も早く探し出したいと思っているので……。お前さんにも何分たのみます....
反戦文学論」より 著者:黒島伝治
を出て、自分の所属部隊のあとを追うて行く。重い脚を引きずって、銃や背嚢を持って終日歩き、ついに、兵站部の酒保の二階――たしかそうだったと思っている――で脚気衝心....
支倉事件」より 著者:甲賀三郎
るが確実な証拠はすこしも挙がらない。こんな奇妙な事件は始めてだ」 本所界隈を一日歩き廻って無駄足を踏んだ失敗を、計らずも神田で酔払いの定次郎の引合せで谷田に会....
」より 著者:島崎藤村
すこし遠くても電車で私の母校のほうへ通わせ、次郎と末子の二人を愛宕下の学校まで毎日歩いて通わせた。そのころの私は二階の部屋に陣取って、階下を子供らと婆やにあてが....
大切な雰囲気」より 著者:小出楢重
、いくつかの列車が往復した。もう今度が終列車らしいのだ。これを外してはまたあす一日歩かねばならぬ。R子は私を抱いていうのだ。「今度こそは一と思いに、な」と念を押....
転機」より 著者:伊藤野枝
のはなくて、その冷たい泥水の中を歩かなければならないのだと思うと、そういう処を毎日歩かねばならぬ人の難儀を思うよりも、現在の自分の難儀の方に当惑した。それでも山....
ああ玉杯に花うけて」より 著者:佐藤紅緑
三度なら七十五銭ですね」 「ああ」 「七十五銭!」 七十五銭はチビ公ひとりが一日歩いてもうける分である、それをことごとく弁当代にしてしまえば三人がどうして食べ....
月夜のあとさき」より 著者:津村信夫
ひとり知っているが、その他に所謂|素人で、ひそかに釣に出るような人もある。 一日歩いて骨折ってみても、まずこんなものですよと云って、石油の空缶をのぞかせて呉れ....
家なき子」より 著者:楠山正雄
もう本を開ければすぐに中に書いてあることがわかるように思っていた。 そのあくる日歩いて行くとちゅう、親方はこしをかがめて、ほこりをかぶった板きれを拾い上げた。....
一商人として 」より 著者:相馬愛蔵
お蔭で急場を救われたものの私は氏の都合が気になって後で訊くと、 『いや、あの金は日歩十五銭(年利五割五分)の高利貸の金ですよ。あなたには毎度融通してもらっている....
四季とその折々」より 著者:黒島伝治
い日々がこの田舎ではくりかえされている。しかし汽車に乗って丸亀や坂出の方へ行き一日歩きくたぶれて夕方汽船で小豆島へ帰ってくると、やっぱり安息はここにあるという気....
小坂部姫」より 著者:岡本綺堂
が、とにかく彼は大明から渡来の唐人で、何か判らない呪文のようなことを唱えながら毎日歩いているのである。彼が眇目の名を取ったのは、左の片眼が魚の鱗を挟んだような眇....
俗臭」より 著者:織田作之助
れていた。もと高利貸の手代をしていた時の根性が未だに残っていて、彼は兄の伝三郎に日歩三銭の利子をとった。伝三郎は三亀雄のたんげいすべからざる蓄財振りを畏敬してい....