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「日永〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

日永の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
失楽園殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
切開手術を行い、腹水中に浮游せる膜嚢数十個を取り出せしも、予後の衰弱のため、その日永眠せり。斯くの如く、余は幹枝に天女の一生を描かせ、一年有余の陶酔を貪りたるも....
虞美人草」より 著者:夏目漱石
さし》を裏に、如鱗木《じょりんもく》の塗美くしき蓋《ふた》をはたと落した。やがて日永《ひなが》の窓に赤くなった耳朶《みみたぶ》のあたりを、平手《ひらて》で支えて....
三浦老人昔話」より 著者:岡本綺堂
重くなるとか云って、お嬢様はめったに外へも出ない。たゞ垂れ籠めて鬱陶しそうに春の日永を暮している。殊に花時の癖で、今年の春も雨が多い。そばに附いている者までが自....
みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
ざッと四里、これは熟路である。時計を見れば十一時、ちと晩いかも知れぬが、然し夏の日永の折だ、行こう行こうと云って、早昼飯を食って出かけた。 大麦小麦はとくに刈....
大衆文芸作法」より 著者:直木三十五
に、奥の離れ座敷に燕のように身を隠します。 そこの小座敷には、初期の浮世絵師が日永にまかせて丹青の筆をこめたような、お国歌舞伎の図を描いた二枚折の屏風が立て廻....
春昼」より 著者:泉鏡花
たが、極めて散漫で、何の声とも纏まらない。村々の蔀、柱、戸障子、勝手道具などが、日永に退屈して、のびを打ち、欠伸をする気勢かと思った。いまだ昼前だのに、――時々....
風流仏」より 著者:幸田露伴
修業する身の痛ましや、菅笠は街道の埃に赤うなって肌着に風呂場の虱を避け得ず、春の日永き畷に疲れては蝶うら/\と飛ぶに翼|羨ましく、秋の夜は淋しき床に寝覚めて、隣....
売色鴨南蛮」より 著者:泉鏡花
揃えて、股を一つ捩った姿で、降しきる雨の待合所の片隅に、腰を掛けていたのである。日永の頃ゆえ、まだ暮かかるまでもないが、やがて五時も過ぎた。場所は院線電車の万世....
鳴雪自叙伝」より 著者:内藤鳴雪
や掌 梅ちりて鶴の子寒き二月かな 永き日や花の初瀬の堂めぐり 伐り出す木曾の檜の日永かな 寒食の膳棚に吹く嵐かな 掃き溜の草も弥生のけしき哉 陀羅尼品春の日脚の....
雑記(Ⅰ)」より 著者:寺田寅彦
まれて、珍しくのんびりした心持になった。メロディなどはどうでもよかった。ただ春の日永の殿上の欄にもたれて花散る庭でも眺めているような陶然とした心持になった。 ....
子を奪う」より 著者:豊島与志雄
た。 「一寸困ったことが出来ましてね。」と幾代は云った。彼女の云う所に依ると、昨日永井が瀬戸の家へ来て、約束の千五百円を求めた。瀬戸は一先ず五百円だけを与えて逐....
前記天満焼」より 著者:国枝史郎
には用がある。おいお菰さん、一緒に行こう」 「へい」と云ったが空を見た。 「夏は日永で暮れませんねえ」 「ホイ、ホイ、ホイ、そうでしたねえ、日のある中は何にも出....
番町皿屋敷」より 著者:岡本綺堂
自分の疑いを払い退けようとした。 お仙は自分の夏衣の縫い直しにかかっていたが、日永の針仕事に彼女も倦んで来たらしい、針先も見えないようなだるい眼をして、うっと....
夜の構図」より 著者:織田作之助
谷重吉の死亡広告が出ているでしょう」 「ええ」 「元衆議院議員蜂谷重吉昨七月卅一日永眠仕候。――とあるでしょう。あなたは蜂谷と言う代議士を知っていますか」 「い....
丸の内」より 著者:高浜虚子
たことを記憶している。ゆっくり/\車をひいて、身の上話でもする老車夫は、今は春の日永のいなか道に見出す位のものであろう。いなか道でも自動車のいつ驀進して来るかわ....