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日蔭
「日蔭〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
日蔭の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「婦系図」より 著者:泉鏡花
しと言うのにね。」 「おっと、そうか、」 ぺろぺろと舌を吸って、 「何だって、
日蔭ものにして置くだろう、こんな実のある、気前の可い……」 「値切らない、」 「....
「春の潮」より 著者:伊藤左千夫
それがあるように取り扱われて、何となし世間と隔てられてしまった。それでわれ知らず
日蔭者のように、七、八日奥座敷を出ずにいる。家の人たちも省作の心は判然とはわから....
「薬草取」より 著者:泉鏡花
水なぞ流れてはおりません。その代暑い時、咽喉が渇きますと、蒼い小な花の咲きます、
日蔭の草を取って、葉の汁を噛みますと、それはもう、冷い水を一斗ばかりも飲みました....
「貝の穴に河童の居る事」より 著者:泉鏡花
、などとぬかすでしゅ。……白足袋をつまんで。―― 磯浜へ上って来て、巌の根松の
日蔭に集り、ビイル、煎餅の飲食するのは、羨しくも何ともないでしゅ。娘の白い頤の少....
「売色鴨南蛮」より 著者:泉鏡花
ちの熊沢旦那が、お千さんの見張兼番人かたがた妾宅の方へ引取って置くのであるから、
日蔭ものでもお千は御主人。このくらいな事は当然で。 対の蒲団を、とんとんと小形....
「湯島の境内」より 著者:泉鏡花
月は晴れても心は暗闇だ。 お蔦 ええ、そりゃ、世間も暗闇でも構いませんわ。どうせ
日蔭の身体ですもの。…… 早瀬 お蔦。(とあらたまる。) お蔦 あい。 早瀬 済....
「白金之絵図」より 著者:泉鏡花
ますの。」 と今時、珍しいまで躾の可い扇子を抜く。 「いえ、御隠居様、こうして
日蔭に居りましても汗が出ますでございますよ。何ぞ、シトロンかサイダアでもめしあが....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
った、中二階――隣に桟橋を張出した料理店か待合の庭の植込が深いから、西日を除けて
日蔭の早い、その窓下の石垣を蔽うて、もう夕顔がほの白い…… ……時であった。簾....
「政談十二社」より 著者:泉鏡花
、お茶の水の向うの崖だって仙台様お堀割の昔から誰も足踏をした者はございませんや。
日蔭はどこだって朝から暗うございまする、どうせあんな萌の糸瓜のような大きな鼻の生....
「照葉狂言」より 著者:泉鏡花
二坪に足らぬ市中の
日蔭の庭に、よくもこう生い立ちしな、一本の青楓、塀の内に年経たり。さるも老木の春....
「怨霊借用」より 著者:泉鏡花
軒提灯のつらなった中に、かえって不断より寂しかった。 峰の落葉が、屋根越に――
日蔭の冷い細流を、軒に流して、ちょうどこの辻の向角に、二軒並んで、赤毛氈に、よご....
「瓜の涙」より 著者:泉鏡花
みれになって、ついそこへ、並木を来かかる。…… 年増分が先へ立ったが、いずれも
日蔭を便るので、捩れた洗濯もののように、その濡れるほどの汗に、裾も振もよれよれに....
「白花の朝顔」より 著者:泉鏡花
が、このしみったれじゃあ、あの亭主にさぞ肩身が狭かろう、と三和土へ入ると、根岸の
日蔭は、はや薄寒く、見通しの庭に薄が靡いて、秋の雲の白いのが、ちらちらと、青く澄....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
ら出て、その日、日本橋で鉄道馬車に乗って上野で下りたが、山下、坂本通は人足繁く、
日蔭はなし、停車場居廻の車夫の目も煩いので、根岸へ行くのに道を黒門に取って、公園....
「活人形」より 著者:泉鏡花
脱心たりと心|急立ち、本郷の通へ駈出でて、東西を見渡せば、一町ばかり前に立ちて、
日蔭を明神坂の方へ、急ぎ足に歩み行く後姿はその者なれば、遠く離れて見失わじと、裏....