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日覆
「日覆〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
日覆の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
彼が描こうとする小説の場景の一つを、思い浮べるともなく思い浮べた。そこには重い舟
日覆《ふなひおい》がある。
日覆の外の海は、日の暮れとともに風が出たらしい。舷《ふ....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
が、勝山の世盛には、団扇車で侍女が、その湯上りの霞を払った簪の花の撫子の露を厭う
日覆には、よその見る目もあわれであった。 「いえ、そりゃ、あの私ンでございますよ....
「金魚撩乱」より 著者:岡本かの子
みたり、頬を突き出してみたりした復一は、やがて 「風もない。よし――」といった。
日覆いの葭簾を三分ほどめくって、覗く隙間を慥えて待っていると、列を作った三匹の雄....
「巴里祭」より 著者:岡本かの子
く雲が途絶えたと見え、夏の陽がぎらぎら此の巷に照りつけて来た。キャフェの差し出し
日覆いは明るい布地にくっきりと赤と黒の縞目を浮き出させて其の下にいる客をいかにも....
「一週一夜物語」より 著者:小栗虫太郎
町に向いて汚い。 露台が、重なり合っている狭くるしい通りは、また、更紗や麻布の
日覆いでしたの土が見えない。しかし、夜は美しい。更紗を洩れる灯、昼間は気付かなか....
「アド・バルーン」より 著者:織田作之助
さがごっちゃになったような趣きがありました。 坂を降りて北へ折れると、市場で、
日覆を屋根の下にたぐり寄せた生臭い匂いのする軒先で、もう店をしもうたらしい若者が....
「青春の逆説」より 著者:織田作之助
汚いしもた屋の軒に「日本畳新聞社」と小さな看板が出ていた。格子窓の上に掛っている
日覆にもその字があった。 戸をあけると、三和土の右側に四畳半位の板の間があり、....
「わが町」より 著者:織田作之助
、かばって呉れたのは次郎ぼんひとりだったと、想いだしながら、やがて並んで歩いた。
日覆のある千日前通を抜けて、電車通を御堂筋へ折れると、西日がきつかった。 他吉....
「城のある町にて」より 著者:梶井基次郎
れと察しられるばかりである。 西日を除けて、一階も二階も三階も、西の窓すっかり
日覆《ひおおい》をした旅館がやや近くに見えた。どこからか材木を叩く音が――もとも....
「S夫人への手紙」より 著者:岸田国士
生は、われわれ同胞の我慢強さにあきれるのです。そんな風ですから、洋風の部屋の窓の
日覆を取りつけようとすると、それはもうバカバカしい贅沢品とみなされ、ちよつと手の....
「雷門以北」より 著者:久保田万太郎
べた白い壁の廊下……わたしの眼にそのさまが浮ぶのである。――青い空をせいた葭簀の
日覆が砂利のうえに涼しい影を落している運動場……わたしの眼にそのさまが浮ぶのであ....
「鴎外の思い出」より 著者:小金井喜美子
た。 それから程なく、往来から家の中の見えるのはよくないからと、格子の前に白い
日覆のような物を掛けるようになりました。 それらの二階建の家に混って、大きな仕....
「谷より峰へ峰より谷へ」より 著者:小島烏水
っきりと浮き上って見える、埃の路は、ぼくぼくして、見るからにかったるい、その上を
日覆いを半分卸した馬車は、痩せて骨立った馬に引かれて、のろのろと歩むかとおもうと....
「霧陰伊香保湯煙」より 著者:三遊亭円朝
風、「夕立や風から先に濡れて来る」と云う雨気で、頓てポツリ/\とやッて来ました、
日覆になった葦簀に雨が当るかと思ううちに、バラ/\と大粒が降って来ました。あゝ降....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
る。時には捧の前後に取りつく四人の駕籠かきが肩がわりをするので、正香らは黒羅紗の
日覆いの下にくっきりと浮き出しているような公使らの顔をその窓のところに見ることは....