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日覆い
「日覆い〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
日覆いの前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「金魚撩乱」より 著者:岡本かの子
みたり、頬を突き出してみたりした復一は、やがて 「風もない。よし――」といった。
日覆いの葭簾を三分ほどめくって、覗く隙間を慥えて待っていると、列を作った三匹の雄....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
る。時には捧の前後に取りつく四人の駕籠かきが肩がわりをするので、正香らは黒羅紗の
日覆いの下にくっきりと浮き出しているような公使らの顔をその窓のところに見ることは....
「道標」より 著者:宮本百合子
あるように、通りに向って低く苅りこんだ常緑樹の生垣《いけがき》の奥に白と赤の縞の
日覆いをふり出している。初夏がくれば、ウィーンの人々は、オペラの舞台にでも出て来....
「孟買挿話」より 著者:吉行エイスケ
は生きていられぬ妾の生命、と、なまめかしく云うのであった。仮装舞踊会のように私は
日覆いして夜の明けるのを待ったのだが、タンゴの太い曲線が寝床の夢を誘うように、彼....
「谷より峰へ峰より谷へ」より 著者:小島烏水
っきりと浮き上って見える、埃の路は、ぼくぼくして、見るからにかったるい、その上を
日覆いを半分卸した馬車は、痩せて骨立った馬に引かれて、のろのろと歩むかとおもうと....
「アンドロギュノスの裔」より 著者:渡辺温
娘は白々とアーク・ライトに濡れながら、不意に泪ぐんだ。 『初め、あなたが、窓の
日覆いを外そうとしていたところを、偶然通りすがって、見そめてしまったのですよ。僕....
「狐の姐さん」より 著者:宮本百合子
。 七月○日 月曜日 暑し。 Yの発起で芝浦のお台場を見物に行く。芝浦から
日覆いをかけた発動和船。海上にポツリと浮いたお台場、青草、太陽に照っている休息所....
「巴里祭」より 著者:岡本かの子
く雲が途絶えたと見え、夏の陽がぎらぎら此の巷に照りつけて来た。キャフェの差し出し
日覆いは明るい布地にくっきりと赤と黒の縞目を浮き出させて其の下にいる客をいかにも....
「死体の匂い」より 著者:田中貢太郎
家も屋根瓦がひどく落ちていた。友人の細君も避難者の中に交って筵の上に坐り、洋傘を
日覆いにして、生れたばかりの嬰児を抱いていた。 大砲を撃つような音が時折聞えだ....
「一週一夜物語」より 著者:小栗虫太郎
町に向いて汚い。 露台が、重なり合っている狭くるしい通りは、また、更紗や麻布の
日覆いでしたの土が見えない。しかし、夜は美しい。更紗を洩れる灯、昼間は気付かなか....
「地異印象記」より 著者:和辻哲郎
や帳簿の取り出しにかかって、まだその全部を出し切らないうちに、もう明かり窓の上の
日覆いに火がついていた。なおそれ以上に物を取り出そうとすれば出せないでもなかった....