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旧恩
「旧恩〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
旧恩の前後の文節・文章を表示しています。該当する10件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
ごときはあだかも旧習を脱せざるもののように見なさるるのもやむを得ない。ただ仏祖の
旧恩を守って、道を道とするに、どうして片手落ちの異見を受くべきであろうぞ。朝旨に....
「雪之丞変化」より 著者:三上於菟吉
聴いて、片手に酒盃《さかずき》、片手に例の顎の逆か撫で、
――たったいま、十年
旧恩の親にも勝る脇田先生の道場を、後足に砂、飛び出して来やあがった、人畜生の門倉....
「渋江抽斎」より 著者:森鴎外
の親みを回復しようと思っているうちに、図らずも抽斎に死なれた。自分はどうにかして
旧恩に報いなくてはならない。自分の邸宅には空室が多い。どうぞそこへ移って来て、我....
「ああ玉杯に花うけて」より 著者:佐藤紅緑
利民福を主とせずして自己の利害のみを主としたからです、豊臣が諸侯を征した。家康が
旧恩ある太閤の遺孤を滅ぼして政権を私した、そうして皇室の大権をぬすむこと三百余年....
「瘠我慢の説」より 著者:木村芥舟
て一切その需を謝絶するの例なれども、諭吉の先生における一|身上の関係浅からずして
旧恩の忘るべからざるものあり。よってその関係の大概を記して序文に代う。明治二十四....
「三国志」より 著者:吉川英治
規兵だということですから、さだめしご苦戦と察しられるので、これから行って、師弟の
旧恩、いささかご加勢してあげたいと思うのです」と、心のうちをもらした。 そして....
「三国志」より 著者:吉川英治
だが、ただ孔明の危ぶむところは、今いうた一点にある。ご辺の性情として、かならず、
旧恩に動かされ、彼の窮地に同情して、放し免すにちがいない」 「何の! それは軍師....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
お安いことで――」と、すぐ彼をわが家へともなって、朝風呂をたて、着がえをすすめ、
旧恩を思ってか、下へもおかなかった。 「ほ。……なかなか豪勢な住居じゃないか。え....
「黒田如水」より 著者:吉川英治
興をゆるしてはと、政治的にもおもしろからずと考えられたからである。 しかしなお
旧恩を思う官兵衛は、氏職たちを離さなかった。わがうけた采邑の一部を割いてこれを禄....
「美しい日本の歴史」より 著者:吉川英治
かしその後、いよいよ天誅組一味の大和旗挙げの機も熟したので、鉄石は淡路へ渡って、
旧恩のある洲本屋へそれとなく別れを告げ、そして一晩はそこに泊った。 すると翌朝....