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「旧観〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

旧観の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
読書法」より 著者:戸坂潤
ぞくさない。寧ろ、科学主義工業に対立すべきであった処の、従来の「資本主義工業」の旧観念によって貫かれていたものだ。 「農村工業」(「農村工業化」)の観念は、大河....
十二支考」より 著者:南方熊楠
城壁を砕けり、妓王フリーネはこれを再興せり」と銘するだに許されたる、これを修めて旧観に復せしめんと出願したほどの大金持となった。かつて、弁士エウチアスに重罪犯と....
鳴雪自叙伝」より 著者:内藤鳴雪
ある。この途中神戸で楠公神社へ妻と共に参詣したが、福原には妓楼なども出来ていて、旧観を更めていたのに驚いた。それから東京へ着いては兼て願って置いたので、日本橋区....
新妻の手記」より 著者:豊島与志雄
実は私には用がなかった筈だ。女中の地位などということに私が突き当ったのも、家庭の旧観念に私が囚われていたからではないか。家庭内の権威と、文学への夢想と、私を対象....
科学的新聞記者」より 著者:桐生悠々
の驚異的なる運動と企画とを発見したほどの輝しい光を発していた。そして包括性という旧観念は漸次に衰退して、専門化によって得られた並立しない知識の堆積中にうずもれて....
淡島椿岳」より 著者:内田魯庵
浸らなければその画を身読する事は出来ないが、今ではバラックの仮住居で、故人を偲ぶ旧観の片影をだも認められない。 寒月の名は西鶴の発見者及び元禄文学の復興者とし....
上野」より 著者:永井荷風
震災の後上野の公園も日に日に旧観を改めつつある。まず山王台東側の崖に繁っていた樹木の悉く焼き払われた後、崖も....
葛飾土産」より 著者:永井荷風
いく》の改造されるにつれて、あるいは埋められ、あるいは暗渠となって地中に隠され、旧観を存するものは殆どないようになった。 そのころ、わたくしはわが日誌にむかし....
草紅葉」より 著者:永井荷風
きるのであろう。観音堂が一立斎広重《いちりゅうさいひろしげ》の名所絵に見るような旧観に復する日は恐《おそら》くもう来ないのかも知れない。 昭和十二年、わたくし....
すみだ川」より 著者:永井荷風
度その頃《ころ》に東京を去り六年ぶりに帰ってきた。東京市中の街路は到《いた》る処旧観を失っていた。以前木造であった永代《えいたい》と両国《りょうごく》との二橋は....
濹東綺譚」より 著者:永井荷風
た。 わたくしは東京市中、古来名勝の地にして、震災の後新しき町が建てられて全く旧観を失った、其状況を描写したいが為に、種田先生の潜伏する場所を、本所か深川か、....
宮本武蔵」より 著者:吉川英治
や大蔵廓や、また諸所の塁濠などもかなり破壊されたものだったが、今では、太閤時代の旧観にさらに鉄壁の威厳を加えて、一衣帯水の大坂城を睥睨していた。 今――武者修....
随筆 私本太平記」より 著者:吉川英治
さきに平ノ清盛を書いたときにもなめた経験であるが、尊氏などを描いてゆくと、きっと旧観念の尊氏を過信している人などからは相当つよい風あたりが来やしないかと思ってい....
随筆 新平家」より 著者:吉川英治
ぎていることをなじったが、決して徒な作為を弄したつもりではない。読者の持っている旧観念の偶像を、その事で、打ち壊すために試みた一描写に過ぎないのである。 わが....
黒田如水」より 著者:吉川英治
しなければ、御着の城も個々の運命も支えてゆけないと思いつめている老臣たちの頑固な旧観念と妄動を愍れまずにいられなかったのである。 「……ううむ。そうか」と、さす....