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「早め〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

早めの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
偸盗」より 著者:芥川竜之介
なければいいが。」 猪熊《いのくま》のばばは、蛙股《かえるまた》の杖《つえ》を早めながら、この時始めて心の底で、しみじみこう、祈ったのである。 かれこれそ....
一夕話」より 著者:芥川竜之介
槻《わかつき》から、飯を食いに来ないかという手紙なんだ。ちょうど僕も暇だったし、早めに若槻の家へ行って見ると、先生は気の利《き》いた六畳の書斎に、相不変《あいか....
開化の良人」より 著者:芥川竜之介
見まわすと、いつの間にか我々を乗せた猪牙舟《ちょきぶね》は、一段と櫓《ろ》の音を早めながら、今ではもう両国橋を後にして、夜目にも黒い首尾《しゅび》の松《まつ》の....
奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
九 牧野《まきの》はその後《ご》二三日すると、いつもより早めに妾宅へ、田宮《たみや》と云う男と遊びに来た。ある有名な御用商人の店へ、番頭....
毛利先生」より 著者:芥川竜之介
たからであろう。自分たちは外套《がいとう》の肩をすり合せるようにして、心もち足を早めながら、大手町《おおてまち》の停留場《ていりゅうば》を通りこすまでは、ほとん....
路上」より 著者:芥川竜之介
待っていた彼女の姿が、稲妻《いなずま》のように閃いた。と思うと、電車はもう速力を早めて、窓の内の二人の姿も、見る見る彼の眼界を離れてしまった。 その後を見送っ....
寒さ」より 著者:芥川竜之介
しかった。 その内に八時の上《のぼ》り列車は長い汽笛を鳴らしながら、余り速力を早めずに堤の上を通り越した。保吉の捉える下《くだ》り列車はこれよりも半時間遅いは....
忠義」より 著者:芥川竜之介
倍の苦痛であった。 修理の神経衰弱は、この周囲の無理解のために、一層昂進の度を早めたらしい。彼は、事毎《ことごと》に興奮した。隣屋敷まで聞えそうな声で、わめき....
馬の脚」より 著者:芥川竜之介
。そんな莫迦《ばか》げたことのあるはずはない。現に彼の脚はこの通り、――彼は脚を早めるが早いか、思わずあっと大声を出した。大声を出したのも不思議ではない。折り目....
保吉の手帳から」より 著者:芥川竜之介
のも好まなかったから、敬礼する暇《ひま》を与えぬように、詰め所を通る時は特に足を早めることにした。が、この大浦と云う守衛だけは容易《ようい》に目つぶしを食わされ....
妖婆」より 著者:芥川竜之介
うがありません。すると新蔵はなおさらの事、別人のように黙りこんで、さっさと歩みを早めたそうですが、その内にまた与兵衛鮨の旗の出ている下へ来ると、急に泰さんの方を....
或る女」より 著者:有島武郎
《まゆ》から黒い口髭《くちひげ》のあたりを見守っていた。 船はもうかなり速力を早めて、霧のように降るともなく降る雨の中を走っていた。舷側《げんそく》から吐き出....
追憶」より 著者:芥川竜之介
僕は二百年来の狸の莫迦囃しではないかと思い、一刻も早く家へ帰るようにせっせと足を早めたものだった。 三四 動員令 僕は例の夜学の帰りに本所警察署の前....
スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
ので、自分の馬を急がせ、先に行ってしまいたいと思った。ところが、不明の騎士も馬を早め、歩調をあわせた。イカバッドは手綱をひきしめ、並足にし、後におくれようとした....
三人の百姓」より 著者:秋田雨雀
を売ってしまった後で、町の居酒屋で一杯ひっかける楽しみのほか、何の考えもなく足を早めて道を歩いて行きました。 伊作は丈の高い一番丈夫な男だけに、峠を登る時は、....