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昂進
「昂進〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
昂進の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
はあなたの御覧になった後《あと》で発したかと思うんです。第一まだ病状が、それほど
昂進してもいないようですから、――しかしともかくも現在は、腹膜炎に違いありません....
「死後」より 著者:芥川竜之介
しも同じでないことはない。僕は一つには睡眠を得るために、また一つには病的に良心の
昂進《こうしん》するのを避けるために〇・五|瓦《グラム》のアダリン錠を嚥《の》み....
「二つの手紙」より 著者:芥川竜之介
りではございません。そう云う侮辱を耐え忍ぶ結果、妻のヒステリイが、益《ますます》
昂進《こうしん》する傾があるからでございます。ヒステリイが益
昂進すれば、ドッペル....
「忠義」より 著者:芥川竜之介
に彼には一倍の苦痛であった。
修理の神経衰弱は、この周囲の無理解のために、一層
昂進の度を早めたらしい。彼は、事毎《ことごと》に興奮した。隣屋敷まで聞えそうな声....
「外套」より 著者:ゴーゴリニコライ
るとひどい熱が出た。ペテルブルグの気候の仮借なき援助によって、病勢が予想外に早く
昂進したため、医者は来たけれど、脈をとってみただけで、如何《いかん》とも手の施し....
「性急な思想」より 著者:石川啄木
の人間には違いない)その不健全を恃《たの》み、かつ誇り、更に、その不健全な状態を
昂進《こうしん》すべき色々の手段を採って得意になるとしたら、どうであろう。その結....
「地球発狂事件」より 著者:海野十三
ばという自信の湧き出る美しい女性を探し当てることはできなかった。ドレゴははげしく
昂進してくる自分の心臓に気がつき、吃驚《びっくり》して胸を抑えた。 解決のつか....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
れるのだ。若し然しその人の個性がその事があったために分散し、精神が糜爛し、肉慾が
昂進したとするならば、もうその人に於て本能の統合は破れてしまったのだ。本能的生活....
「電気風呂の怪死事件」より 著者:海野十三
らないので閉口してますが、どうでしょうな、あんまりあの男の意志に逆らうと、心臓が
昂進して悪いのですが、お差支えなかったら、あの男を一応帰らしたらと思うんですが―....
「獄中記」より 著者:大杉栄
鱈腹食う夢を見て下痢をする 一方に学究心が盛んになるとともに、僕は僕の食欲の
昂進、というよりもむしろ食いっ気のあまりにさもしい意地きたなさに驚かされた。 ....
「楢重雑筆」より 著者:小出楢重
人であっても、権衡が立派であっても、絵の技が優れていても、写実であっても、心臓が
昂進するという事は更らになかったようである。 全く浮世絵師の作は、それがどんな....
「めでたき風景」より 著者:小出楢重
いる頃、いつも町|外れの森の中から、この曲馬団のラッパが毎日響いて、私の帰郷病を
昂進させた。私はもし何か、長唄とか清元、歌沢のお稽古でも出来るようなのんきな時間....
「夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
生に対する観察はいよいよ手馴らされ、皮肉になり、それと共に彼の好奇心は弥が上にも
昂進して行った。 鶴見はこの頃になって、泡鳴をバルザックに比較して考えて見るよ....
「明治の戦争文学」より 著者:黒島伝治
的匂いがたゞよっている。 一兵卒の死の原因にしても、長途の行軍から持病の脚気が
昂進したという程度で、それ以上、その原因を深く追求しないで、主人公の恐ろしい苦し....
「空中征服」より 著者:賀川豊彦
とにつき、次から次へとすこぶるローマンチックなことを考えて泣き続けた。 神経が
昂進するとともに、彼は自分の脈管の中に血潮の沸騰する音を聞いた。 彼が血潮の沸....