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昆
「昆〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
昆の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
ったマッカリヌプリは少し頭を前にこごめて風に歯向いながら黙ったまま突立っていた。
昆布岳《こんぶだけ》の斜面に小さく集った雲の塊を眼がけて日は沈みかかっていた。草....
「高野聖」より 著者:泉鏡花
こ笑いながら、縮緬雑魚《ちりめんざこ》と、鰈《かれい》の干物《ひもの》と、とろろ
昆布《こんぶ》の味噌汁《みそしる》とで膳《ぜん》を出した、物の言振《いいぶり》取....
「海異記」より 著者:泉鏡花
腕に抱いたまま、手許も上の空で覚束なく、三ツばかり握飯。 潮風で漆の乾びた、板
昆布を折ったような、折敷にのせて、カタリと櫃を押遣って、立てていた踵を下へ、直ぐ....
「伯爵の釵」より 著者:泉鏡花
十 ――水のすぐれ覚ゆるは、 西天竺の白鷺池、 じんじょうきょゆうにすみわたる、
昆明池の水の色、 行末久しく清むとかや。 「お待ち。」 紫玉は耳を澄した。道の....
「小春の狐」より 著者:泉鏡花
れた、白砂の小松山の方に向ったのである。 小店の障子に貼紙して、 (今日より
昆布まきあり候。) ……のんびりとしたものだ。口上が嬉しかったが、これから漫歩....
「南地心中」より 著者:泉鏡花
十二人、御殿の正面に揖して出づれば、神官、威儀正しく彼処にあり。土器の神酒、結び
昆布。やがて檜扇を授けらる。これを受けて、席に帰って、緋や、萌黄や、金銀の縫箔光....
「灯明之巻」より 著者:泉鏡花
い、色の白い美童だが、疳の虫のせいであろう、……優しい眉と、細い目の、ぴりぴりと
昆虫の触角のごとく絶えず動くのが、何の級に属するか分らない、折って畳んだ、猟銃の....
「開扉一妖帖」より 著者:泉鏡花
七折ばかり、繋いで掛け、雲の桟に似た石段を――麓の旅籠屋で、かき玉の椀に、きざみ
昆布のつくだ煮か、それはいい、あろう事か、朝酒を煽りつけた勢で、通しの夜汽車で、....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
歩行いた。ひょろひょろものの作者ごときは、外套を着た蟻のようで、電車と自動車が大
昆虫のごとく跳梁奔馳する。瓦礫、烟塵、混濁の巷に面した、その中へ、小春の陽炎とと....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
って黙って。」 というと、また合点々々。よい、と圧した小腕ながら艪を圧す精巧な
昆倫奴の器械のよう、シッと一声飛ぶに似たり。疾い事、但し揺れる事、中に乗った幼い....
「化鳥」より 著者:泉鏡花
ようになったんだから、うかつに聞いていては罰があたります。人間も、鳥獣も草木も、
昆虫類も、皆形こそ変っていてもおんなじほどのものだということを。 とこうおっし....
「雪霊続記」より 著者:泉鏡花
が附木のように凍っています――白子魚乾、切干大根の酢、椀はまた白子魚乾に、とろろ
昆布の吸もの――しかし、何となく可懐くって涙ぐまるるようでした、なぜですか。……....
「春昼後刻」より 著者:泉鏡花
を聞かっせえ、待ってるだに。」 横に落した紫の傘には、あの紫苑に来る、黄金色の
昆虫の翼の如き、煌々した日の光が射込んで、草に輝くばかりに見える。 その蔭から....
「米」より 著者:犬田卯
なく、紺碧の沼は崇厳なほど静かだった。やがて浩平一家のものは、よちよちと蟻が長い
昆虫を運ぶような恰好をして、勝が、むしろ鋤簾そのものに曳きずられるようにしてやっ....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
です、深川のお邸があんなになりました、同一年の秋なんで。 その十畳敷の真中で、
昆布巻を極めて手足をのびのびと遣りましたっけ。」 愛吉は吸殻を払いて、 「可う....