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「昇汞〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

昇汞の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或る女」より 著者:有島武郎
殿《ゆどの》の梁《はり》、看護婦室に薄赤い色をして金《かな》だらいにたたえられた昇汞水《しょうこうすい》、腐敗した牛乳、剃刀《かみそり》、鋏《はさみ》、夜ふけな....
婦系図」より 著者:泉鏡花
が、扉の外になると、もう自分でも足の確なのが分って、両側のそちこちに、白い金盥に昇汞水の薄桃色なのが、飛々の柱燈に見えるのを、気の毒らしく思うほど、気も爽然して....
」より 著者:海野十三
れで……六十三人目かナ」 死屍室から出て来た伝染病科長は、廊下に据付けの桃色の昇汞水の入った手洗の中に両手を漬けながら独り言を云った。そこへ細菌科長が通りかか....
殺人鬼」より 著者:浜尾四郎
つて来た。 「今、包紙を調べたそうです。少し粉末がついていたのでそれを調べた結果昇汞だという事が判りました。純粋の昇汞だそうです。何もまじつていないという事です....
暗黒公使」より 著者:夢野久作
にその包紙を取り除けると、中から現われたものは小さな足付きの硝子コップで、中には昇汞水のような……もっと深紅色の美しい色をした液体が四分目ばかり湛えられてあった....
幽霊と推進機」より 著者:夢野久作
らしかった。 それから一時間と経たないうちに、いい加減に薄められた石炭酸だの、昇汞だの、石灰水だのがドシドシ運びおろされて、チャンコロ部屋一面にブチ撒かれた。....
一足お先に」より 著者:夢野久作
も二尺ばかり低いタタキになっていて、夥しい解剖学の書物や、古い会計の帳簿類、又は昇汞、石炭酸、クロロホルムなぞいう色々な毒薬が、新薬らしい、読み方も解らない名前....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
十分の成功を予言したり、霊妙不思議な惚《ほ》れ薬、黒鉛《こくえん》に、安息香に、昇汞《しょうこう》に、阿片薬を廉価《れんか》に販売したり、まった、月日や年代を言....
白い壁」より 著者:本庄陸男
、と、き――にげろやにげろ」「つかまんな!」と応援するのであった。 五昇汞水《しょうこうすい》に手を浸しそれを叮嚀《ていねい》に拭いた学校医は、椅子に....
菜穂子」より 著者:堀辰雄
考えかけようとした。彼女はそのとき急に、いつも自分のまわりに嗅《か》ぎつけていた昇汞水《しょうこうすい》やクレゾオルの匂の代りに、車内に漂っている人いきれや煙草....
人魚謎お岩殺し」より 著者:小栗虫太郎
友田屋、類似聯想たるや、実に正確な精神化学なんだぜ。そして、正午という一語から、昇汞という解答を発見すると、僕はその錠剤の不足を、薬屋の販売台帳から見つけ出した....
世界の裏」より 著者:国枝史郎
て――彼女の部屋へ行ってみた。彼女はベットの上に、白い顔をして死んでいた。多量の昇汞水を飲んで―― 「てには相違なかったんだが……」と、他日、若い医学士は泣きな....
式部小路」より 著者:泉鏡花
風体のよくない若い男が、影のように立っていました。 で、することは看護ですな。昇汞水の金盥と並べた、室外の壁の際の大きな器に、氷嚢から氷が溶けたのを、どくどく....
本所両国」より 著者:芥川竜之介
鍛錬にはいつも敬意を感じている。先生は或時博物学教室へ行き、そこにあったコップの昇汞水を水と思って飲み干してしまった。それを知った博物学の先生は驚いて医者を迎え....