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明い
「明い〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
明いの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「アグニの神」より 著者:芥川竜之介
急に顔をしかめました。ふと相手に気がついて見ると、恵蓮はいつか窓際に行って、丁度
明いていた硝子窓から、寂しい往来を眺めているのです。 「何を見ているんだえ?」 ....
「或日の大石内蔵助」より 著者:芥川竜之介
り上げて、つつましく一服の煙を味った。煙は、早春の午後をわずかにくゆらせながら、
明い静かさの中に、うす青く消えてしまう。
「こう云うのどかな日を送る事があろうと....
「英雄の器」より 著者:芥川竜之介
》なぞをかまっている場合じゃありません。」
「すると、英雄の器と云うのは、勘定に
明いと云う事かね。」
この語《ことば》につれて、一同の口からは、静な笑い声が上....
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
す?」
洋一は陰気な想像から、父の声と一しょに解放された。見ると襖《ふすま》の
明いた所に、心配そうな浅川《あさかわ》の叔母《おば》が、いつか顔だけ覗《のぞ》か....
「影」より 著者:芥川竜之介
《くび》へ手を廻した。それから頸に残っている、無残な指の痕《あと》に唇を当てた。
明い電燈の光に満ちた、墓窖《はかあな》よりも静な寝室の中には、やがてかすかな泣き....
「疑惑」より 著者:芥川竜之介
かいて、漫然と書見に耽《ふけ》っていると、突然次の間との境の襖が無気味なほど静に
明いた。その
明いたのに気がついた時、無意識にあの別荘番を予期していた私は、折よく....
「袈裟と盛遠」より 著者:芥川竜之介
わからない、不思議に生々《いきいき》した心もちになった。生々した? もし月の光が
明いと云うのなら、それも生々した心もちであろう。が、それはどこまでも月の光の明さ....
「西郷隆盛」より 著者:芥川竜之介
を触れたばかりで、すぐにM・C・Cへ火をつけた。煙草の煙は小さな青い輪を重ねて、
明い電燈の光の中へ、悠々とのぼって行く。本間さんはテエブルの下に長々と足をのばし....
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
して、錦に玉を貫いた燦《きら》びやかな裳《も》の腰を、大殿油《おおとのあぶら》の
明い光に、御輝かせになりながら、御※《おんまぶた》も重そうにうち傾いていらしった....
「秋山図」より 著者:芥川竜之介
、こう言葉を続けるのです。
「実はあの画を眺めるたびに、私《わたし》は何だか眼を
明いたまま、夢でも見ているような気がするのです。なるほど秋山《しゅうざん》は美し....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
この鷺の影を除いては、川筋一帯どこを見ても、ほとんど人を脅《おびやか》すような、
明い寂寞が支配していた。
彼は舷《ふなばた》に身を凭《もた》せて、日に蒸《む》....
「母」より 著者:芥川竜之介
ひた》ったなり、いつかうとうと眠りそうになった。
「あなた。」
男は大きい眼を
明いた。ハムモックの側に立っているのは、上海《シャンハイ》の旅館にいた時より、や....
「二つの手紙」より 著者:芥川竜之介
線は、向うの廊下の壁によりかかるようにして立っている、妻の姿に落ちました。妻は、
明い電燈の光がまぶしいように、つつましく伏眼《ふしめ》になりながら、私の方へ横顔....
「報恩記」より 著者:芥川竜之介
泣いていると云うのは、どうせただ事ではありません。わたしは息をひそめたまま、幸い
明いていた襖《ふすま》の隙《すき》から、茶室の中を覗《のぞ》きこみました。
行....
「魔術」より 著者:芥川竜之介
の竹藪にしぶくような、ものさびしい音は聞えません。
勿論窓の内の陽気なことも、
明い電燈の光と言い、大きなモロッコ皮の椅子《いす》と言い、あるいはまた滑かに光っ....