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明けっ放し
「明けっ放し〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
明けっ放しの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「彼岸過迄」より 著者:夏目漱石
摺《ず》られなかったのは、僕の体面上まだ仕合せであった。 千代子はかくのごとく
明けっ放しであった。けれども夜が更《ふ》けて、母がもう寝ようと云い出すまで、彼女....
「深夜の市長」より 著者:海野十三
空き家で、窓の締りが一つ外れるところがあるんですよ。内部へ入れば、畳のない床は、
明けっ放しよ。用心はあまりいい方じゃないわネ」 僕は頭を鉄槌でガーンと擲られた....
「地球盗難」より 著者:海野十三
て裏門がさっきのまま明いているのに気づいて、 「呀ッ、こいつはうっかりしていた。
明けっ放しておいて、誰かに忍びこまれでもすれゃ、これァ大事だった。危い危い」 ....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
」 「なにが出るんですね」 「友蔵は宿のはずれに、小さな世帯を持っているが、家を
明けっ放して毎日遊びあるいている。そこへ女と男の幽霊がでるという噂で……。女は調....
「田舎教師」より 著者:田山花袋
た。それに、荻生君は毎日のようにやって来た。学校から帰ってみると、あっちこっちを
明けっ放して顔の上に団扇をのせて、いい心地をして昼寝をしていることもある。かれは....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
の》うた」 「それはこっちの言うことじゃ」 二人は面を見合って笑う。壮士のは、
明けっ放しの笑い方、竜之助のは苦笑い。 「なんにせよ、二つの獲物《えもの》を取っ....
「艸木虫魚」より 著者:薄田泣菫
稲田鶴巻町のある下宿屋に友達を訪ねたことがあった。狭い廊下を通りかかると、障子を
明けっ放しにした薄ぎたない部屋に、一人の老人が酒を飲みながら、声高に孟子を朗読し....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
茂ちゃん、これはいったい、どうなるのでしょうね」 興に乗ずると我を忘れて、家を
明けっ放しにして夜もすがら踊り抜こうという連中が、若い者や子供ばかりではありませ....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
中では返事をする者もなかった。よんどころなしに隣りの家へ行って訊くと、金次は家を
明けっ放しにして近所の銭湯へ行ったらしいとのことであった。 「わたしは山の手から....
「反抗」より 著者:豊島与志雄
つもりですから。……一体あなたは、余り遠慮深すぎていけないわ。これから、すっかり
明けっ放しで、遠慮なしにしましょうよ、ねえ」 しみじみとした感傷に囚われようと....
「黄色な顔」より 著者:ドイルアーサー・コナン
に何か曰くがありそうに思えたからです。――元来私の妻は不断から隠しごとの出来ない
明けっ放しな性質の女なんです。それなのにその時に限って彼女はこっそり自分の部屋に....
「一週一夜物語」より 著者:小栗虫太郎
るように云いました。 「なにがです」 「知っているくせに。……もっと黒檀紳士は、
明けっ放しの人かと思っていたわ。つまり、四十|碼スクラムからスリークォーター・パ....
「エリザベスとエセックス」より 著者:片岡鉄兵
彼女自身の行状の変化も、自然の変化に劣るものではなかった。遠慮なく振るまう冗談、
明けっ放しの物腰、狩猟熱心、そうしたものとともにこの荒々しい熱病的な女は、突如と....
「五重塔」より 著者:幸田露伴
郎か野郎でないか見ていて下され、さようならば、と後声烈しく云い捨てて格子戸がらり
明けっ放し、草履もはかず後も見ず風より疾く駆け去れば、お吉今さら気遣わしくつづい....
「妻」より 著者:神西清
とって完全にはっきりしていた。ところが私が例の尺度を当てはじめるが早いか、じつに
明けっ放しで単純きわまるこの男が、異常に複雑な、こんぐらかった、不可解な性格にな....