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「明け渡す〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

明け渡すの前後の文節・文章を表示しています。該当する10件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
夜明け前」より 著者:島崎藤村
は今だに忘れられません。ごらんなさい、天璋院さまはそういう人でしょう。今度、城を明け渡すについては、和宮さまは田安の方へお移りになるから、あなたは一橋家の方へお....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
えする村はずれの方へ行っていた。 やがて青山の家のものは母屋の全部を御用掛りに明け渡すべき時が来た。往時、諸大名が通行のおりには、本陣ではそれらの人たちのため....
みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
ので、娘等は大分弱った。雲雀の歌が纔に一同の心を慰めた。 来て見ると、前日中に明け渡す約束なのに、先住の人々はまだ仕舞いかねて、最後の荷車に物を積んで居た。以....
量的と質的と統計的と」より 著者:寺田寅彦
物理学は物理学の一方の庇を借りた寄生物であったのであるが、今ではこの店子に主家を明け渡す時節が到来しつつあるのではないか。ほんとうの新統計的物理学はこれから始ま....
故郷」より 著者:井上紅梅
いからだ。 わたしどもが永い間身内と一緒に棲んでいた老屋がすでに公売され、家を明け渡す期限が本年一ぱいになっていたから、ぜひとも正月元日前に行かなければならな....
光は影を」より 著者:岸田国士
父は座敷は客間としてだけ使いたい平生からの意向で、自分が居間にしている次の間を明け渡すのが、すこし億劫らしかつた。 「山のようなつておつしやるけど、たいがいお....
明治劇談 ランプの下にて」より 著者:岡本綺堂
いが、なにぶんにも歌舞伎芝居の本城という歌舞伎座であるだけに、その本城をかれらに明け渡すということは、歌舞伎芝居が書生芝居に征服されたという形にもなるので、ここ....
空中征服」より 著者:賀川豊彦
が午前中にわかってきた。 庁内の娘子軍は事務に一生懸命である。たとい、敵に城を明け渡すことが近いうちのことであっても、その間に出来るだけの好成績を挙げたいとい....
私本太平記」より 著者:吉川英治
い」 「覚悟にござりまする。そのへんも」 「……察しる。つらい役だ。しかし鎌倉を明け渡すのやむなきにいたった今、あの宮までを連れてはあるけぬ。しかも、あの宮の豪....
随筆 新平家」より 著者:吉川英治
いかにあのころでも、言語に絶するものがあったに違いない。 運送屋来てこほろぎに家明け渡す 自分のわびしさといえば、句にしてもこんな程度である。だが、これも一茶....