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明らか
「明らか〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
明らかの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
使《けびいし》には、やっとこれだけの事がわかった。そうして、阿濃は、罪の無いのが
明らかになったので、さっそく自由の身にされた。
それから、十年余りのち、尼にな....
「玄鶴山房」より 著者:芥川竜之介
に近い秀才だった。それは又彼の人懐《ひとなつ》こい目や細っそりした顋《あご》にも
明らかだった。重吉はこの茶の間へはいると、洋服を和服に着換えた上、楽々と長火鉢の....
「戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
自分が歌や発句を作ることの出来ない人間と見られたにしても、それを不満に思うのは、
明らかに矛盾である。とっさにこういう自省を動かした彼は、あたかも内心の赤面を隠そ....
「十円札」より 著者:芥川竜之介
絶え、父母兄弟とも喧嘩をした今、たとえ東京へ出かけたにもせよ、金の出来ないことは
明らかである。すると十円を返すためにはこの十円札を保存しなければならぬ。この十円....
「袈裟と盛遠」より 著者:芥川竜之介
心もちには不純なものも少くはない。己は袈裟に何を求めたのか、童貞だった頃の己は、
明らかに袈裟の体を求めていた。もし多少の誇張を許すなら、己の袈裟に対する愛なるも....
「日光小品」より 著者:芥川竜之介
平無私にいくばくの価値があるかは私の久しい前からの疑問である。単に著者の個人性が
明らかに印象せられたというに止まりはしないだろうか。
私は年長の人と語るごとに....
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
こかへ行った事は、袖《そで》に雨《あま》じみの残っている縞絽《しまろ》の羽織にも
明らかだった。
「行って参りました。どうも案外待たされましてな。」
神山は浅川....
「寒さ」より 著者:芥川竜之介
はどの線路だったろうと思い思いした。が、どの線路だったかは直《すぐ》に彼の目にも
明らかになった。血はまだ一条の線路の上に二三分|前《まえ》の悲劇を語っていた。彼....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
か》いに来るものたちだと云う事は、彼等のまわりに草を食《は》んでいる家畜を見ても
明らかであった。殊にその一人の若者は、彼を崇拝する若者たちの中でも、ほとんど奴僕....
「侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
にこう云った後、豚のように幸福に熟睡したであろう。
又
天才の一面は
明らかに醜聞を起し得る才能である。
輿論
輿論《よろん》は常に私刑で....
「秋山図」より 著者:芥川竜之介
ぎ見ました。この秋山がかつて翁の見た秋山かどうか、それはもちろん誰よりも翁自身が
明らかに知っているはずです。ですから私も王氏同様、翁がこの図を眺める容子《ようす....
「馬の脚」より 著者:芥川竜之介
もんがい》の馬市《うまいち》の斃馬《へいば》についていた脚であり、そのまた斃馬は
明らかに張家口《ちょうかこう》、錦州《きんしゅう》を通って来た蒙古産の庫倫《クー....
「魚河岸」より 著者:芥川竜之介
した。その時誰か横合いから、「幸《こう》さん」とはっきり呼んだものがあった。客は
明らかにびっくりした。しかもその驚いた顔は、声の主《ぬし》を見たと思うと、たちま....
「「菊池寛全集」の序」より 著者:芥川竜之介
リアリズムに裏書きを与えるものであろう。が、彼をしてリアリストたらしめたものは、
明らかに道徳的意識の力である。砂の上に建てられた旧道徳を壊って、巌の上に新道徳を....
「良夜」より 著者:饗庭篁村
し。夜はなおさら昼のホテリの残りて堪えがたければ迚も寝られぬ事ならば、今宵は月も
明らかなり、夜もすがら涼み歩かんと十時ごろより立ち出で、観音へ参詣して吾妻橋の上....