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明り取り
「明り取り〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
明り取りの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「父」より 著者:芥川竜之介
すると、いつの間にか、うす日がさし始めたと見えて、幅の狭い光の帯が高い天井の
明り取りから、茫《ぼう》と斜めにさしている。能勢の父親は、丁度その光の帯の中にい....
「聖アレキセイ寺院の惨劇」より 著者:小栗虫太郎
その時、検事がルキーンの袖を引き、無言で天井の床を指差した。そこには硝子窓の
明り取りが開いていて、背の高い検事には、そこから、静止している二人の女の裸足が見....
「島原心中」より 著者:菊池寛
わずかばかりかかっているのでした。天井が、頭につかえるほど低い部屋の中は、小さい
明り取りの窓があるだけで、昼でも薄暗いのですが、その薄暗い片隅には、心中前に男女....
「足迹」より 著者:徳田秋声
塗屋造りで、広い座敷の方は始終薄暗いような間取りであったが、天井に厚硝子の嵌った
明り取りのある茶の間や、台所、湯殿の方は雨の降る日も明るかった。お庄はその茶の間....
「今昔ばなし抱合兵団」より 著者:海野十三
きた。以下、これを再録しておく。 十×年八月八日 晴れ 小便に起きたついでに、
明り取りの窓から暁の空を透かしてみると、憎らしいほど霽れ渡った悪天候である。 ....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
うでもしようかと思っているところです」 三人がこんな問答をしている時に、一方の
明り取りの窓に張った紙の破れのところが、急にすさまじい音を立てて、バタバタしたも....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
》というあれなんです。風を避けるためには、通常その外側の方へ障子紙を張って、単に
明り取りだけの用に供しているが、ここではまだ、紙を張ってしまうほどの時間が無かっ....
「障子の落書」より 著者:寺田寅彦
いるが、もとの一号館から四号館の辺は、閉鎖したままで残っている。壁はしみに汚れ、
明り取りの窓|硝子はところどころ破れ落ちかかって煤けている。おおかた葉をふるうた....
「貞操問答」より 著者:菊池寛
、区切られて特異であった。 床の間一杯に、おびただしい和書洋書が積み重ねられ、
明り取りの円窓の近くに、相当古いがドッシリとした机が置かれ、その前の皮ばりの椅子....
「環礁」より 著者:中島敦
があり、其処《そこ》に家族らが蹲《うずくま》ったり、寝そべったりしているらしい。
明り取りが無くて薄暗いので、隅の方は良く判らないが、此方から見る正面には、一人の....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
の置きかわる、霜の白菊を渡り来る、夕暮の小路の風の、冷やかなばかりではなかった。
明り取りに半ば開いた、重なる障子の薄墨に、一刷黒き愛吉の後姿、朦朧として幻めくお....
「贋物」より 著者:葛西善蔵
運命の大きくして悲しきを想うことができる……」 寝間の粗壁を切抜いて形ばかりの
明り取りをつけ、藁と薄縁を敷いたうす暗い書斎に、彼は金城鉄壁の思いかで、籠ってい....
「すみだ川」より 著者:永井荷風
「長さん、綺麗《きれい》だよ、掛けられるぜ。」吉さんは人のすいた後《うしろ》の
明り取りの窓へ腰をかけて長吉が並んで腰かけるのを待つようにして再び「僕ァ役者だよ....
「つゆのあとさき」より 著者:永井荷風
べましょう。」と定子は帯の間から取出す伝票紙に注文の品を書きながら立って行った。
明り取りの窓にさしていた夕日の影はいつか消えて、階段の下から突然蓄音機が響き出し....
「硝子を破る者」より 著者:中谷宇吉郎
んくぎ》で打付《うちつ》け、窓も全部板を当てて釘付けにして来たのであるが、二階の
明り取りの硝子をこわして、中からあけたので、簡単に破られてしまった。 研究室の....