星明り[語句情報] » 星明り

「星明り〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

星明りの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
蜃気楼」より 著者:芥川竜之介
僕はこんなことを話しながら、偶然僕等の顔だけははっきり見えるのを発見した。しかし星明りさえ見えないことは前と少しも変らなかった。僕は又何か無気味になり、何度も空....
船医の立場」より 著者:菊池寛
た。二人は、弁天堂の中へ入って寝てしまった。目がさめたのは八つを回った頃だろう。星明りのうちに潮が堂の真下まで満ちているのが分かった。 二人は欣び勇んで舟に乗....
一兵卒」より 著者:田山花袋
押すと、突然、闇が破れて扉があいた。室内が見えるというほどではないが、そことなく星明りがして、前にガラス窓があるのがわかる。 銃を置き、背嚢をおろし、いきなり....
とむらい機関車」より 著者:大阪圭吉
附き、間もなく道床の砂利を踏む跫音が聞えて、線路の上へ真ッ黒い人影が現れました。星明りにすかして見れば、どうやら外套らしいものの裾にズボンをはいた足が見えます。....
渾沌未分」より 著者:岡本かの子
味が潤沢だった。下げ汐になった前屈みの櫓台の周囲にときどき右往左往する若鰡の背が星明りに閃く。父はあまり遠くない蘆の中で、カンテラを燃して数珠子釣りをやっている....
鶴は病みき」より 著者:岡本かの子
った。八月下旬に近く、虫がしんとした遠近の草むらで啼いている。麻川氏の端正な顔が星明りのなかでデスマスクの様に寂然と見える。ひょっとしたら、尖った鼻先から氏の体....
安重根」より 著者:谷譲次
黒。崖縁の立樹を通して、はるか眼下に港が見える。碇泊船の灯。かすかに起重機の音。星明り。 安重根と李剛が話しながら出て来る。安重根は行李を抱え、李剛は跛足を引き....
八ヶ嶽の魔神」より 著者:国枝史郎
たある時は二つの船は互いに遠く乗り放し矢合わせをして戦った。闇の夜には篝を焼き、星明りには呼子を吹き、月の晩には白浪を揚げ、天竜の流れ遠州の灘を血にまみれながら....
地球要塞」より 著者:海野十三
、スイッチを切った。そしてまた階段をのぼって、夜空の下に立った。 美しい夜だ。星明りばかりで、他に、なんの灯火《あかり》も見えない。視界のうちには、人工的な一....
人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
は部屋を宛てがわれたが、その夜は眠れぬ一夜であった。月のない砂上は、ぼうっとした星明り。だが、彼はやっと助かったと、じつに躍るような気持。そのうち、彼が出方出ま....
死者の書」より 著者:折口信夫
片破れ月が、上って来た。其が却て、あるいている道の辺の凄さを照し出した。其でも、星明りで辿って居るよりは、よるべを覚えて、足が先へ先へと出た。月が中天へ来ぬ前に....
弓道中祖伝」より 著者:国枝史郎
? さては無住ではなかったのか?) で若武士は立ち上り、部屋を出て縁へ立った。星明りの下に見えたのは、荒れた館にふさわしく、これも荒れ果てた裏庭で、雑草は延び....
フランケンシュタイン」より 著者:シェリーメアリー・ウォルストンクラフト
家の人たちを観察して過ごした。みんなが寝床に引っこんでしまうと、月が出ているか、星明りがあるかすれば、森へ入りこんで、自分の食べものと家へ持って帰る燃料を集めた....
おせん」より 著者:邦枝完二
「駕籠屋さん。済まんが、急いどくれやすえ」 「へいへい、合点でげす。月はなくとも星明り、足許に狂いはござんせんから御安心を」 「酒手はなんぼでもはずみますさかい....
鳩つかひ」より 著者:大倉燁子
人の刑事は自動車を途中で乗捨て、赤星を案内役に闇の深い森の中に踏み入った。樹木は星明りを遮って四辺は真暗だ。刑事等は手を差し延べて樹にぶつからないように用心しな....