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映じる
「映じる〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
映じるの前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「二つの手紙」より 著者:芥川竜之介
変事の起らなかった事を記録しています。これはまた、そう云う現象が、第三者の眼にも
映じると云う、実例になりましょう。Stilling 教授が挙げているトリップリン....
「壊滅の序曲」より 著者:原民喜
、ふと野戦のありさまを想像さすのだった。『戦争と平和』に出て来る、ある人物の眼に
映じる美しい大自然のながめ、静まりかえった心境、――そういったものが、この己の死....
「ジャーナリズム雑感」より 著者:寺田寅彦
究の滑稽なる風貌が、さくら音頭の銀座から遠望した本職のジャーナリストの目にいかに
映じるかは賢明なる読者の想像に任せるほかはないのである。 (昭和九年四月、中央公論)....
「油絵新技法」より 著者:小出楢重
調子の集合が人間にどんな心を起させるかといった具合の仕事を現す。 要するに眼に
映じる自然のありのままの実在が如何に美しく、複雑に組立てられているかという事を現....
「世界の一環としての日本」より 著者:戸坂潤
取ってはジャーナリスティックな活動は「余技」として、或いは一種の堕落として、さえ
映じるのである。 無論科学者や技術家の本格的な研究は必ずしもジャーナリスティッ....
「わが父」より 著者:宮本百合子
その光景は変化のない日常の中で不思議な新鮮さをもって印象にのこったが、折から目に
映じるそういう荒々しい春の風物と、新しく私のうちに生じて重大な作用を営みはじめた....
「灰色の記憶」より 著者:久坂葉子
で、それは真の恋愛をしているその瞬間の快楽よりも、そうすることの得意さ、人の目に
映じる自分の姿に対する自己満足にすぎないように思われた。(それが女性の快楽である....
「桐生通信」より 著者:坂口安吾
とはあり得ないのである。 私は毎日この町のメインストリートを散歩する。その目に
映じるものは風景にすぎない。心の住む場所はまた別で、それはどこに住んでも変りがな....
「大正女流俳句の近代的特色」より 著者:杉田久女
はや飛ぶ力もない病蝶をじっと凝視している。病蝶に対する何らの主観も読まず、只目に
映じる色彩、形、実在の真を明確に描写せんと努力するのみである。秋蝶の句は漆黒にう....
「魔都」より 著者:久生十蘭
犯罪に見えるのでしょう」
「左様、あなた方には見えぬ陰微の犯罪も私にはアリアリと
映じるのです。私に御用とおっしゃったのはその事でしたか」
林は血色のいい頬をツ....
「孔子」より 著者:和辻哲郎
る。 この書は序論において『論語』の原典に関する研究の歴史としてわれわれの眼に
映じるのである。ギリシアの古典や、新旧約聖書や、インドの古典などに関して、前世紀....
「現代茶人批判」より 著者:北大路魯山人
格者はどこにどう居坐って黙っているのだか、はなはだ求め難い。これがわれわれの目に
映じるところの茶界の姿である。 いずれにしても、ありあまる俗欲は巧みに袖の中に....
「すみだ川」より 著者:永井荷風
みがたい空想に駆られた。空想の翼のひろがるだけ、春の青空が以前よりも青く広く目に
映じる。遠くの方から飴売《あめうり》の朝鮮笛《ちょうせんぶえ》が響き出した。笛の....